米国では「自動運転」より「自動飲酒検知」が今アツい?

ワシントン州車両、検知センサー設置

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出典:YouTube動画

交通事故のリスクを大幅に高める飲酒運転は、世界各国で深刻な社会課題となっている。この問題を解決するため、米国西海岸のワシントン州では車両に取り付けられたセンサーがドライバーの飲酒を自動で感知するという飲酒運転を防止するための新しい取り組みがスタートする。

センサーがハンドル周辺の自然な呼吸を分析してアルコールの有無を検知、ドライバーの血中アルコール濃度が基準を超えていると判断した場合はエンジンがかからないという仕組みになっている。クルマの自動運転化は事故減に寄与するものとして注目を集めているが、ワシントン州でのこの取り組みも事故減につながる可能性があるものとして注目を浴びそうだ。

▼ワシントン州政府のプレスリリース
https://wtsc.wa.gov/washington-state-launches-initiative-to-advance-lifesaving-alcohol-detection-technology-to-end-drunk-driving/

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■クルマに搭載される飲酒検知センサー

ワシントン州交通安全委員会は、運転者の呼気中のアルコールを検知し、車の始動を防ぐことができる車載技術の試験を開始することをこのほど発表した。まずは州の各所に配備された州政府所有車両に、自動的に作動する呼気センサーが搭載される。このシステムを住民に紹介し、技術についての理解を深めてもらうキャンペーンとして実施される。

これは「Driver Alcohol Detection System for Safety(DADSS:安全のための運転者アルコール検知システム)」との連携で実施され、運営者はAutomotive Coalition for Traffic Safety(ACTS)となっている。DADSSは運転者の呼気中のアルコールを自動的かつ受動的に検知する技術を開発するプロジェクトのことで、ACTSは主要自動車メーカーで構成される業界団体だ。

車両に搭載される呼気センサーでは、ドライバーがアルコール検知器に息を吹き込んだり何か操作をしたりといったことは必要ない。自動的に呼吸を分析し、もしアルコール濃度が基準を超えていると判断した場合、車は始動しない。それにより飲酒運転を未然に防ぐことが可能になる。

なおこの技術は、警察が使用する呼気中のアルコールを測定するブレスアナライザーとは異なるものであるという。DADSSプログラムでは全ての車両に搭載されることを想定した技術を開発しており、自動緊急ブレーキや車線逸脱警報システムといった他の衝突回避技術と同様のADAS(先進運転支援システム)の一種に該当するようだ。

■深刻化する事故の削減に期待

ワシントン州交通安全委員会が2022年に発表したデータによると、2017年から2021年の間に同州で発生した死亡事故の32%が飲酒運転に関係していたという。死亡者数は1万4,219人にも上る。

自動車交通安全連合でプログラム開発ディレクターを務めるKristin Kingsley氏によると、DADSSプログラムの最終目標は、将来的にこの技術を全ての新しい商用車に標準装備させることだという。ただし、それには数十年かかる可能性があるということも認めている。現在は州政府に対し、この技術試験への協力を求めるとともに、世間の認知度と支持を高めることに注力しているようだ。

Kingsley氏は「この技術は将来的に大きな役割を果たす可能性があるが、現在走っている車の平均使用年数は約12年であり、車両全体が入れ替わるには30年かかる。そのため仮に明日から全ての新車にこの技術が搭載されたとしても、飲酒運転に対処するためには交通安全に関わる全ての関係者の連携が必要だ」と語っている。

またワシントン州交通安全委員会でディレクターを務めるShelly Baldwin氏は「私たちは、この技術が違和感なく自然に動作するようにすることに注力している。一般の人々に受け入れてもらうには、飲酒していないドライバーが車に乗っても、その技術が搭載されていることにほとんど気づかないようにする必要がある」とコメントしている。

■日本で同様の取り組みも…!

日本では静岡県富士市に本社を置く東海電子が、飲酒運転できない中古車の販売事業を2024年7月から開始している。 飲酒しているとエンジンが起動しない装置「アルコールインターロック」があらかじめ搭載されている車両になる。

自動運転車は、決して飲酒運転やヒューマンエラーを起こすことはない。しかし自動運転の実装は今すぐ一般に拡大できるという段階には至っていない。ドライバーの自己管理が一番重要ではあるが、飲酒運転による事故が絶えない現状である以上、自動車メーカーや開発各社はADASのようにこういった技術を標準装備していってほしい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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