女性専用のライドシェアサービスが2024年4月1日から沖縄県でスタートした。
この取り組みは、沖縄で交通情報サービスなどを展開する株式会社オキジモ(本社:沖縄県南風原町/代表取締役:上地佑来)により、「利用者・ドライバー共に安心して利用できるライドシェアサービス」の実現に向け行われる。
2024年4月から4都府県で日本版ライドシェアが解禁されたが、沖縄で開始されるこのサービスは「非営利型」という点でそもそもの仕組みが違う。詳しく見ていこう。
■「非営利型」かつ「女性専用」
日本版ライドシェアでは、ドライバーはタクシー事業者と雇用契約を結ぶ必要がある。ただしこの仕組みでは、稼働するドライバー人材の確保が難しいとオキジモは考えている。
同社は2024年3月に、沖縄県のドライバー1,074人を対象に日本版ライドシェアに関するアンケート調査を実施した。その結果、47.3%が日本版ライドシェアのドライバーとして働くことに興味を持つといった比較的ポジティブな回答を得た。さらにドライバーとして参加する条件として、「安全対策」「勤務時間や収入の柔軟性」「収入の高さ」が挙げられた。
県内ドライバー向けの交通情報サービスを10年間運営しているオキジモは、ライドシェアドライバーの視点でこれらの仕組みを整えることが重要だと考えた。ライドシェアを通してドライバーの支出の悩みを解決することを目的に、ライドシェア事業への参入を決めたという。
■非営利型ライドシェアの仕組みは?
今回スタートする沖縄版とも言えるライドシェアサービスは、日常的に車移動が必要な人の支出を軽減し、生活を豊かにすることを目指している。
移動に伴うガソリン代や高速代をドライバーに渡すという非営利型となり、ドライバーの移動ルートを起点に同乗したい人が応募する。そのため同乗者のピックアップや目的地に合わせてドライバーがルートを変える必要がなく、普段の移動の中でガソリン代などのコストを削減できる。
ガソリン代や高速料金の割り勘費用は自動算出され、キャンペーン中は手数料が完全無料になるという。
今回の非営利型ライドシェアは、運転手・クルマ・配車・運行管理・報酬・事故時の責任の所在という点において営利型の日本版ライドシェアと仕組みが全く異なる。
日本版では、運転手は一種免許を持った一般の人、クルマは白ナンバーの自家用車、配車と運行管理はタクシー会社、報酬は時給、事故時の責任は検討中となっている。それに対し非営利型は、運転手は一般の人、クルマは自家用車、配車はアプリ事業者、運行管理は運転者個人、報酬は実費分のみ、事故時の責任は運転者個人となる。
■女性の方が安全面を重要視
オキジモの調査によると、男性に比べて女性の方が安全面を重要視している結果となったという。また同社の30万人いるユーザーの多くがは30代〜40代の女性であり、オキジモユーザーの便益と安全を第一に考え「女性専用ライドシェア」を開始することになった。
ドライバーは女性限定、同乗者は女性または子ども限定となる。ただし同乗者については、女性と一緒に乗る場合に限り男性も可としている。
最初は安全性を確立するために女性専用とするが、検証後には男性も利用できるようなサービス展開を行っていく予定だ。
■今後ますます注目を集めていきそう
オキジモは、新しい地域交通としてライドシェアを進めることで、4人以上乗車可能にもかかわらずドライバーしか乗っていないクルマを利用した効率的な移動を実現する。それにより深刻な問題となっている沖縄の渋滞の解消も目指すという。
また沖縄が日本版ライドシェアの対象地域となるよう、国土交通省などに働きかけていく予定だ。
海外では、女性専用のライドシェアサービスがすでに導入されている国もある。非営利かつ女性専用、かつ地域の課題解決に寄与する同社の先進的な取り組みは、今後ますます注目を集めていきそうだ。
【参考】関連記事としては「ライドシェア解禁、Uber Eatsとの「二刀流」で高収入は可能?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)