沖縄県総合事務局が「令和5年度沖縄県内における自動運転の道路インフラに関する検討業務」に関する入札の公示を行っている。
業務内容は、離島における道路空間の問題点を試験走路で再現し、車両走行による技術検証を行い、結果をまとめること。申請期限は2024年6年1月22日の午後5時15分まで、業務の履行期限は令和7年2月末日とされている。
沖縄県内の離島における公共交通の維持や高齢者の移動手段の確保のため、自動運転技術の導入を検討している自治体に対し、国が道路インフラの技術分野で支援するのが目的だ。
公示の内容は以下から確認できる。
▼競争参加者の資格に関する公示|沖縄県総合事務局
https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Kaiken/kyoku/contract/pdf/R060112/PDF_kouji_1.pdf
■離島での自動運転実証実験は過去にも
沖縄の離島では過去にも、本島および石垣島で自動運転バスの実証実験が行われている。2017年6〜7月に2週間、離島ターミナルと新石垣空港を結ぶ路線で実施。車いすや高齢者も乗り降りしやすいよう、隙間なくバス停に正確に横付けできるかなどを検証した。
モニターは計368人で、後日内閣府が行ったアンケートでは、約7割が「安心」「ほぼ安心」と回答。普段利用するバスとの乗り心地の違いは「発進と停車」「乗り心地」について約3割が「少し急」「少し悪い」と回答するという結果になった。
沖縄以外でも離島での実証実験の事例はある。2020年1月には三河湾に浮かぶ愛知県の日間賀島(ひまかじま)で、島の外周を走る自動運転バスの運行を中心とした3日間の実証実験が行われた。
「離島における観光型MaaSによる移動」をテーマに、鉄道と船舶の乗り継ぎ情報、自動運転バスの運行時間、島内のシェアサイクルの利用方法などの情報をスマートフォンなどに一元的に提供。顔認証による乗降なども組み合わせて実施するという内容であった。
同年12月には広島県大崎上島町で、自動運転車両を利用した交通手段および物流手段の確立を目指す4日間の実証実験が行われた。約2キロ離れた島内の2つの港間で、利用者が予約して自動運転車両で移動する交通手段としての有効性、物流業者が注文を受けて自動運転車両を手配する物流手段についての有効性が検証された。
■「スマートアイランド」の行方は!?
本土から隔絶され海に囲まれた離島は、過疎や高齢化が著しい一方で、人気観光地であることも多い。宮古島や与那国島など県内に多くの島が点在する沖縄では、新しい技術や知見を導入することで離島特有の課題解決を目指す「スマートアイランド」がますます進むだろう。
自動運転に関するさまざまな実証実験は、今後どんな離島の未来を見せてくれるだろうか。取り組みの今後に注目だ。
【参考】関連記事としては「「自動運転は不安」「黒字化に壁」 離島×自動運転・MaaSの課題は?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)