ライドシェア解禁に向けて機運が高まる中、政府が2023年度中に新たに創設する仕組みの方針を固めたことが、2023年12月13日までに判明した。NHKなどが報じた。
ライドシェアで働く人は、タクシー会社によって雇用されていなければならず、ライドシェアの運行管理もタクシー会社がすることが条件となる。アメリカで普及しているUber(ウーバー)などとは異なる仕組みだ。
実質的に、タクシー会社以外はライドシェア事業に参入できない仕組みとみられ、骨抜きの解禁とも言えそうだ。一方、いずれはタクシー会社以外も参入できるようにするか、議論を続けるとみられる。
■ドライバーへの「業務委託」も認めない
政府方針では、ドライバーとして働く人に対する業務委託も認めない。雇用関係があった方が利用者(乗客)に対する安心感が高まるといった判断のようだ。
一方で、二種免許を取得していない一般ドライバーも、ライドシェアの運転手として有料で送迎をできるようにする方針となっている。
展開エリアは、現在は過疎地など公共交通機関が乏しい場所で認められているが、観光地や都市部でも展開できるようにする。
こうした仕組みの導入に向け、道路運送法の法令の改正内容をまとめるとみられる。方針は今後開催される「デジタル行財政改革会議」で示される予定だ。
■ギグワーカー的な働き方ができない制度に
日本はライドシェア解禁で世界に出遅れている現状がある。タクシー会社の反発が大きいことなどが背景にあった。ただ、過疎地や観光地などでは十分に移動手段が確保できていないこともあり、国内ではライドシェア解禁に対するムードが醸成されつつあった。
海外ではライドシェアの運転手は、大半は「ギグワーカー」(※単発で仕事を請け負う人)として働く個人事業主がほとんどだが、このほど明らかになった政府方針によれば、ライドシェアの全面解禁に向けて新たに創設される制度では、タクシー会社による雇用が条件となる。
海外では「気軽に働ける」ことが、ライドシェアのドライバーが増える一つの要因となっているが、タクシー会社に雇用されることが条件となると、そこまでしてライドシェアで稼ぎたい人は日本ではそうは多く出てこない可能性もある。
まずは近く開催されるデジタル行財政改革会議で示される内容に注目したい。
【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?(2023年最新版) 解禁時期や有力企業は?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)