空飛ぶクルマ関連のインフラプラットフォームの開発などを手掛けるエアモビリティ株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社⻑:浅井尚)の第4期決算公告(2022年9月時点)が、このほど官報に掲載された。当期純損失は1億6,326万円であった。
現在、空飛ぶクルマの機体を開発しているメーカーが注目されがちだが、空飛ぶクルマの実用化に向けた動きが加速していく中で、安全に飛行するためのインフラの必要性が今後どんどん高まってくることは確実だ。
そういった視点では、エアモビリティ社が展開している事業の有望性は高いと言える。
■決算概要(2022年9月30日現在)
賃借対照表の要旨(単位:千円)
▼資産の部
流動資産 363,808
固定資産 62,866
資産の部合計 426,675
▼負債及び純資産の部
流動負債 41,155
株主資本 385,519
・資本金 344,250
・資本剰余金 328,750
・・資本準備金 328,750
・利益剰余金 △287,480
・・その他利益剰余金 △287,480
・・(うち当期純損失)(163,265)
負債及び純資産の部合計 426,675
■独自プラットフォーム「ASCP」を開発
2019年設立のエアモビリティは、空飛ぶクルマ関連のインフラプラットフォーム「Air Mobility Service Collaboration Platform(ASCP)」の開発・運用のほか、海外の「空飛ぶクルマ」メーカーの日本市場参入支援を手掛けている企業だ。
2020年に経済産業省と国土交通省による「空の移動革命に向けた官民協議会」と、大阪府が主催する「空の移動革命社会実装 大阪ラウンドテーブル」の構成員に選出されている。2021年1月には、ドローンの運航管理システムの開発などを手掛けるテラドローンと空飛ぶクルマの社会実装に向けて業務提携した。
そのほか、eVTOL(電動垂直離着陸機)メーカーである英VRCOや米Bartiniの独占販売権を所有、スイスのDufour Aerospaceとは代理店契約を締結している。
■日本初のナビゲーションシステム実証も
エアモビリティは、東京海上日動火災保険、三重県との間で、空⾶ぶクルマに係る実証実験ならびに実⽤化に向けた支援に関する包括協定を2020年11月に締結した。
この取り組みの一環として、2021年12月に三重県で日本初の空⾶ぶクルマのナビゲーションシステム「AirNavi」の実証実験を行った。AirNaviアプリを使って空のルートを設定し、海上から上空60メートル、約2.7キロ先の目的地までドローンを飛行させるという内容で、飛行中はリアルタイムの気象情報が表示されるか、ナビゲーション機能や離着陸の動作判定、通信などが問題なく作動するかなどを検証したという。
なおAirNaviは、ASCPの主要機能である空のナビゲーションシステムのことで、ルート設定などのナビゲーション機能をはじめ、リアルタイムの気象情報や離着陸場の情報などのさまざまな条件を取り込み、空⾶ぶクルマの安全な運航を支援する。
また2023年2月には同県において、AirNaviと、ASCPの主要機能の1つである離着陸場システム「IVport」の実用化に向け、ドローンを使用した実証実験を行った。正常着陸運航と緊急着陸運航において、AirNaviとIVportが連携して作動する緊急着陸機能について確認したという。
■ドローン比較販売サイトなども手掛ける
エアモビリティは、eVTOL・ドローンメーカーと部品メーカーを結ぶeコマースサイト「AeroMall」を2023年3月にオープンした。これは同社によると、世界初になるという。
また同年5月には、国内外の産業用ドローンの比較販売サイト「AeroBuy」をスタートした。機体メーカーや価格、利用用途などの条件を指定し、検索、比較し、ニーズに応じたドローンを探すことができるサイトになる。
エアモビリティにまつわるさまざまな事業を展開する同社の、今後の取り組みと業績に引き続き注目していきたい。
※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。
【参考】関連記事としては「三重の上空に「空の道」!空飛ぶクルマの実現へ、ナビ実証実施へ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)