動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」で、自動運転車と警察官の動画が話題を呼んでいる。警察官が自動運転車を道路脇に誘導しようとしている動画で、すでに約1,400万回の再生回数を記録している。どんな動画なのか見ていこう。
■TikTokで公開された動画の内容
この動画は2023年4月16日に米アリゾナ州フェニックスで撮影された。自動運転車はWaymoの自動運転機能を搭載した車両で、後部座席から警察官を撮影をしている。助手席には人が乗っているが、運転席には誰も乗っていない。
@johnnyromano3 POV: youre in a self driving car and the police get involded
この自動運転車が走行中に、パレードが行われている場面に遭遇した。自動運転車はパレードが向かって来る方向に走行してしまい、白バイに乗った警察官が対向車の邪魔にならないよう「右に寄れ」(もしくは「右周りでUターンしろ」?)と自動運転車に身振りで指示を出した。
しかし自動運転車はすぐ反応できず、助手席の人間が両方の手のひらを上に向けて肩をすくめる「お手上げ」のジェスチャーをし、「Sorry, we can’t move」(ごめんなさい、自ら動けないんです)と、笑いながら運転席には誰もいないことを伝えようとしている。
Waymoの広報担当者によると、同社は高度な機械学習を用いて手信号や工事標識の対応方法を自動運転車に学ばせているという。今回の特別なケースについては「Waymo車両は指示通り横に寄ったあとで、multi-point turn(複数回切り返してターンする方法)を行い、警察官とのやりとりから90秒以内に、封鎖された車線から抜け出すことに成功した」とコメントしている。
ちなみにこのTikTokユーザーは、自動運転車がどうやってトラブルに対処したのかを実際目で見て、「感銘を受けた」と語っている。また米メディアに語ったところによると、車両の中に運転手が不在だということは一目瞭然であったため、警察官が怒ることはなかったという。
■自動運転開発をリードするWaymo
米Google傘下の自動運転開発企業であるWaymoは、2018年12月に世界初の自動運転タクシーサービス「WaymoOne」をアリゾナ州フェニックスで一部ユーザーを対象に開始した。当初はセーフティドライバー同乗のもとサービスを提供していたが、2019年末ごろに一部ユーザーを対象にドライバーレスのサービスを導入し、2020年10月ごろには対象を一般ユーザーに拡大している。
2021年8月にはカリフォルニア州サンフランシスコで、限定された利用者向けに自動運転タクシーサービスを開始した。2023年2月には、ロサンゼルスでも走行テストを開始することを明らかにしている。
自動運転開発において先陣を切っているWaymoだが、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)が2022年6月に公開したデータによると、2021年7月以降に報告された自動運転システム関連の事故において、Waymoが62件でトップだったことが判明している。
ただし、これはWaymoの展開台数が多いため、相対的に事故が多くなったということも関係しているようだ。
【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。
■さまざまなトラブルを乗り越えて
Waymoは、同社の自動運転システム「Waymo Driver」を搭載した自動運転車が100万マイル(約160万キロ)の公道走行を達成し、かつ負傷者はゼロであったことを、2023年2月に発表した。ただし、NHTSAの自動車事故データベースに登録する基準を満たした衝突事故は、2件発生しているという。
なお、事故とまでは言えないトラブルはたびたび起こっており、2022年12月には車両が交差点の真ん中に停車し、交通渋滞を引き起こしている。また2023年4月には、Waymo車がサンフランシスコを走行中、霧の影響で自動運転機能がうまく作動せずに停車し、道路をふさいだというトラブルもあった。
開発が進む自動運転車だが、特別な道路状況や天候といったイレギュラーな状況にどう対処していくかという点では、これからさらに改善・進化する必要がある。さらなる技術力アップに期待したい。
【参考】関連記事としては「「霧」がGoogleの自動運転タクシーを惑わせる!立ち往生で大渋滞」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)