空飛ぶクルマなどの開発を手がける株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)が、物流ドローンによる資材運搬の試験運用を開始したことを2023年2月21日に発表した。
国内初となる、人口集中地区となる橋梁建設現場においての自動運転の物流ドローンによる資材運搬の試験運用で、大手ゼネコンの大林組と共同で行ったという。
■AGVで自動化に取り組む大林組
大林組は建設作業員の高齢化や人材不足を見据え、また業員が単純作業から解放され、技能や習熟を必要とする作業に集中できることを目指し、AGVなどを活用した資材搬送の自動化を進めている。
AGVは「Automated Guided Vehicle」の略で、人間による操作を必要とせず自動で走行する運搬車のことを指す。
SkyDriveと大林組は、建設現場における重量物の運搬が可能な物流ドローンの活用の検討を行い、高速道路現場などでの試験を2019年から共同で行っているという。
■物流ドローン「SkyLift」を使用
試験運用で使用したのは、SkyDriveが開発した物流ドローン「SkyLift」だ。桁上空30メートルに最大20キログラムの資材を運び、無着陸でホイスト機構により荷下ろしを行うことができる。なおホイスト機構は資材をドローンから吊り降ろす装置で、吊荷が接地することによりフックが自動で外れる機構を備えている。
今回の試験運用では、神奈川県横浜市で行われている橋梁建設現場において、飛行距離約100メートルとなる朝礼広場から建設中の桁上までの資材運搬を実施している。この場所は、特別な申請が必要で高い安全性が求められる人口集中地区(DID)となっている。
今回の工事現場は建設中の構造物と近接しており、構造物に由来する突風や地磁気の乱れなどがあるため、重量物運搬用ドローン適用の難易度が高いという。また鉄道営業線近接工事のため、安全性のレベルを大幅に引き上げることが必要とされているが、これまでの知見をもとに、国内で初めて橋梁建設現場にて重量物運搬用ドローンの自動自律飛行による資材運搬に成功した。
■空飛ぶクルマ企業が建設現場でも活躍
SkyDriveは2022年5月から、物流ドローンの新サービス「SkyLift Plus」を開始している。SkyLiftを用いて運用に関わる各種業務をワンストップで行い、顧客の現場での荷物運搬作業等を完工するサービスだ。
空飛ぶクルマ開発で有名なSkyDriveだが、大林組との取り組みをはじめ、物流や建設現場でもさらに活躍することが期待される。
【参考】関連記事としては「SkyDriveは空飛ぶ車だけじゃない!物流ドローンで新事業」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)