GoogleのHDマップ技術が、初めて自動車メーカーに提供されることになった。Googleと長年にわたり協力関係を継続してきたボルボ・カーズとボルボ傘下のポールスターが、GoogleのHDマップ技術を車両に搭載することが、2023年1月11日までに発表された。
■「安全な自動運転の実現にも貢献」
自動車メーカーのために設計されたGoogleのHDマップは、詳細でありながら最新の道路情報を提供する総合地図だ。パイロット・アシストを搭載した車両で利用でき、最近発表されたボルボEX90とポールスター3を皮切りに搭載していくようだ。車線変更の支援やボルボのパイロット・アシスト技術などが提供可能になる。
ボルボ・カーズCOO(最高執行責任者)兼副CEO(最高経営責任者)のハビエル・バレラ氏は「将来の車種ラインナップにGoogleのHDマップを追加することは、Googleとの戦略的協力関係の拡大を意味し、テクノロジーリーダーとの協業に対する当社のコミットメントを反映している」と説明している。
そしてその上で「GoogleのHDマップを搭載することで、ドライバーの皆様により楽しいドライブ体験を提供し、将来的には安全な自動運転の実現に貢献する」と述べている。
Google側は「新しいHDマップは、世界をマッピングする私たちの長い歴史に基づいて、自動車メーカー向けに特別に設計されており、次世代のアシストおよび自動運転システムを強化するために不可欠な包括的な車線レベルと位置情報のデータを提供する」と自信を見せる。
さらには「ボルボのような業界をリードする自動車メーカーと提携を続け、世界中のドライバーの安全性と快適性を向上させることができることを嬉しく思う」ともコメントしている。
■「Googleと一緒に画期的な技術」
ボルボはLiDARや、完全子会社化した自動運転ソフトウェア企業であるZenseactが開発したソフトウェアを含むボルボの車外センサーから収集された情報と、GoogleのHDマップのデータを組み合わせ、より予測しやすい安全で快適なドライブの実現を目指すという。
将来的には車の環境把握のさらなる向上のため、ルーフ一体型LiDARやレーダー、カメラ、超音波センサーからなるセンサーセットとGoogleのHDマップが組み合わさることで、ボルボの自動運転技術の導入もサポートしていくようだ。
Zenseact社CEOのオドガード・アンダーソン氏は、「Zenseactは、ボルボ・カーズおよび Googleと一緒に、アシスト運転、そして将来的には自動運転のためのこの画期的な技術の実装に取り組めることを誇りに思う」と述べている。
■HDマップの需要拡大、競争も激化
自動運転レベル2や3の車両の普及が始まり、HDマップの需要は大きく伸びている。同時にHDマップの提供側のシェア獲得競争も激化している。GoogleのHDマップは今後ほかの自動車メーカーにも採用されていくのか、様子を見たい。
【参考】関連記事としては「ダイナミックマップとは?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)