「自動運転」と「手動運転」では、どちらの安全性が高いのだろうか。
米Google傘下の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)は、自社の自動運転システムによる走行と人間のドライバーによる走行ではどちらがより安全かを、シミュレーションテストで検証した。そしてその結果をこのほど発表した。
■衝突回避率、自動運転は75.0%、手動運転は・・・?
調査では、Waymoの自動運転システム「Waymo Driver」と、AI(人工知能)によるバーチャルの人間のドライバー「NIEON(non-impaired, with eyes always on the conflict)」を比較した。
(編注:NIEONは実際の人間のドライバーとは違い、注意散漫になったり疲労したりすることがなく、常に注意を払って運転し続けることができるといい、仮に人間に置き換えるとすると、かなり優秀な部類の運転手であると言えそうだ)
Waymoは死亡事故のシミュレーションシナリオにおいて、Waymo DriverとNIEONモデルによる走行を比較した。その結果、安全性でWaymo DriverがNIEONモデルを上回る結果となり、Waymo Driverのほうがより多くの衝突を回避し、ケガ人の重症化リスクも低減できた。
具体的には、衝突が発生するというシミュレーションテストにおいて、NIEONモデルは衝突の62.5%を回避し、重傷化リスクを84.0%低減した。それに対し、Waymo Driverは衝突の75.0%を回避し、重傷化リスクを93.0%低減することができたという。
■いずれ実サービスでの比較データも
自動運転が手動運転よりも事故リスクが低いというデータは、将来的に自動運転の社会受容性を高める上で非常に重要となる。
今回のWaymoのデータはあくまでシミュレーター上のものだが、すでにWaymoは自動運転タクシーの商用サービスを展開しており、いずれは手動運転のタクシーとの事故率の比較データを発表するかもしれない。
ちなみに今回のデータは、以下のWaymoの公式ブログからも閲覧できる。
▼Benchmarking AV Safety: Demonstrating how the Waymo Driver outperforms the collision responses of always attentive human drivers via industry-leading assessment methods
https://blog.waymo.com/2022/09/benchmarking-av-safety.html
【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)