東北大学の研究グループは2022年6月25日までに、突風などの「外乱」から自動運転車を守ることにつながる技術を開発したと発表した。
報道発表では「自動車が受ける風圧や風向を瞬時に推定する新しい技術」と説明されており、この技術を活用することにより、自動運転車が突風などを受けても安全な制御を継続できることなどが期待されるという。
トラックの隊列走行においても、この技術の活用が期待できるようだ。具体的には「隊列走行するトラック車列に対して空気抵抗を低減する隊列形態の制御を行うことによる燃費の改善などが期待されます」としている。
■機能性分子センサーを混合した塗料を使用
この技術を開発したのは、東北大学大学院工学研究科の野々村拓准教授らの研究グループだ。報道発表によれば、以下の2つの技術を開発したという。
- 自動車などの車体表面の風圧分布と周囲の風向を数点の圧力センサーの情報から推定するための基礎技術
- そのセンサーを設置する場所を最適化する技術を開発
詳しくは、以下のように説明されている。説明されている内容を正確に伝えるため、原文をそのまま引用する。
周囲の圧力に応じて発光強度が変化する機能性分子センサーを混合した特殊な塗料(感圧塗料)を用いて、車体表面の圧力場データを取得し、風圧分布モデルの構築と最適なセンシング位置の選定を事前に行います。そして、実際の運用時にはそれらを用いて、数点の圧力センサーの情報から風圧分布と風向を高精度に推定します。(引用:https://www.jst.go.jp/pr/announce/20220624/index.html)
上記では「機能性分子センサーを混合した特殊な塗料と用いる」と説明されており、車体に多数の半導体センサーを埋め込む方式でのセンシングではないため、容易に市販車への実装を実現できる可能性があるようだ。
■自動運転車に実装される可能性は大きい
ちなみにこの研究内容は論文「Optimization of sparse sensor placement for estimation of wind direction and surface pressure distribution using time-averaged pressure-sensitive paint data on automobile model」から確認できる。
自動運転車が横から突風を受けた場合、システム側が適切な対処をしなければ、最悪の場合、横転事故などに結び付くことがある。そのため、車体表面の風圧や車体周りの風向を把握することは非常に重要だ。
市販車への実装も容易とのことで、自動運転車に実際にこの技術が搭載される可能性は大いにありそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転に必須の7技術まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)