「25秒間」。平常時あればこの25秒間は特に重要な意味を持たないかもしれないが、消防車にとっては極めて重要な意味を持つ。25秒早く消防車が現場に到着することで、人命が助かる可能性も出てくるからだ。
この「25秒間(25 seconds)」というワードが、いまアメリカのニュースで話題になっている。GM Cruiseの自動運転車が消防車を25秒間足止めした事実が発覚したからだ。ニュースメディアWiredなどが報じている。
■消防車にとっては極めて重要な25秒間
報道によれば2022年4月上旬、緊急出動中の消防車がカリフォルニア州サンフランシスコ市内を走行中、行く手をゴミ収集車に阻まれて対向車線側を走行しようとしたとき、対向車線を走っていた自動運転車がゴミ収集車の隣でストップし、道路が完全にふさがれたという。
この出来事が起きたことについてGM Cruise側も事実関係を認めている。消防車がその場にとどまることを余儀無くされた時間は25秒間に及んだという。最終的にゴミ収集車の運転手が戻ってきて車両を移動し、その状況が解消された。
ということはつまり、GM Cruise側が自動運転車の遠隔支援オペレーターに連絡をとり、即座に自動運転車側をバックさせることで救急車の通り道を確保した、というわけではないということだ。
こうしたことから、サンフランシスコ消防局(FSSD)は市内を走行する自動運転車に対する懸念を高めている。
■サンフランシスコ市当局が異議申し立て
サンフランシスコ市当局は、自動運転の実証実験の実施に許可を出しているカリフォルニア州公益事業委員会に対し、異議の申し立て行ったという。異議を申し立てるに至った理由は今回の「25秒間」の出来事だけではなく、ほかにも問題が起きているからだ。
例えば、GM Cruiseの車両は夜間にも関わらずヘッドライドをつけずに走行していたことがあるという。また4月下旬には、横断歩道上でGM Cruiseの車両が停止し、歩行者の往来が一時的に阻害されたという。
こうした問題が解消されなければ、近い将来、カリフォルニア州内での自動運転車の実証実験が一時中断されることがあるかもしれない。今後どういう展開となるのか。
【参考】関連記事としては「なぜ住民たちは、Waymoの自動運転車に卵を投げつけるのか」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)