中国最大の仮想通貨取引所Binance(バイナンス)が仮想通貨とブロックチェーン専門の投資ファンドを設立すると発表した。最初の出資先は同国ライドシェア大手の滴滴出行(DiDiチューシン)で、仮想通貨とライドシェアという急成長市場同士の相乗効果に注目が集まる。
香港メディアなどによると、バイナンス社は10億ドル(約1100億円)を投じてファンドを設立。同社が仮想通貨技術を活用して発行する「BNBトークン」を使って、主にICO(新規仮想通貨公開)を行う前のスタートアップ企業やブロックチェーン企業に投資をするという。バイナンス社がDiDi社への出資を決めたことで、DiDi社が仮想通貨やブロックチェーン技術を活用した事業展開を視野に入れていることが予想される。
近年急激な伸びを見せている仮想通貨市場。市場全体の時価総額は2018年初めに一時90兆円を突破するほどの規模に成長しており、インフラや法整備が後追いするほどの一大産業に躍進した。
同様に右肩上がりで市場規模を拡大し続けているのが自動運転産業。多くのスタートアップ企業が急成長し、買収や提携、投資といった話題も尽きないため、今回のバイナンス社とDiDi社のように、今後仮想通貨市場からの投資や出資が活発化する可能性もある。
■ブロックチェーン×仮想通貨の現状は?
また、ブロックチェーン技術を自動運転車のセキュリティ分野に活用する仮想通貨「CUBE」も2017年末に登場しており、引き続き両市場の動向から目が離せない。
【参考】ブロックチェーンは、仮想通貨取引のデータをまとめた「ブロック」と呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、それを鎖(チェーン)のように連結していくことによりデータを保管する技術。ブロックチェーンに参加するユーザー同士が支えあう形で管理しており、データが分散されるためシステム障害に強く、低コストで運用できる。分散型台帳技術、分散型ネットワークとも呼ばれている。
ライドシェアへのブロックチェーン活用に関しては、DiDi社と2016年に合併した配車サービス企業「快的打車」の創始者である陳偉星氏が、2018年5月にブロックチェーンを活用したライドシェアアプリの開発計画について言及している。中国のeコマース事業大手「美団」の共同創業者である楊俊氏とともに相乗りや配達が利用できるプラットフォームの開発を推進する見通しという。
【参考】陳氏の発言に関する詳細は「世界初、ライドシェアにブロックチェーン技術活用か 中国起業家|自動運転ラボ