「ラスト1ミニット」という言葉をご存じだろうか。宅配事業における「エンドユーザーの手元に届く最後の1分の距離」のことを指す。
このラスト1ミニットにおける宅配は、現在はベテランドライバーの経験によって支えられている。時間帯別の道路の混雑状況、営業車両が通行可能な細街路、トラックを駐停車可能な位置、車両が入るべきではない道路など、こうした知見は新人ドライバーは一朝一夕には身に付けらず、配送ルート選びに苦労する。
ではそんな中、もしシステムが最適な配送計画を立ててくれ、ドライバーに自動で指示を出してくれたらどうだろうか?とても便利だと思いませんか?
■ノウハウ集積、ルート探索や自動配車可能に
こうした視点でゼンリンデータコムとライナロジクスの両社がこのほど発表したサービスが「モビリティプラットフォーム(仮称)」だ。サービスの利用者はラスト1ミニットの輸配送サービスに関するノウハウをこのプラットフォーム上で集積し、「ルート探索」や「自動配車」などの機能を組み合わせて利用できるという。
両社は報道発表で「宅配業務において高度かつ実用的な配送指示を作成することで、プロではない、配送のノウハウを持たず、限られた時間のみ働くことができる、主婦や副業の労働力の活用が可能になります」としている。
ライナロジクスは配送計画を自動作成する組合せ最適化技術や予測・学習技術などを有している。ゼンリンはマップデータや位置情報解析技術を有している。この両社の技術を組み合わせ、「モビリティプラットフォーム(仮称)」を提供していく計画のようだ。
■MaaSにおける旅客輸送でも活躍する技術
ラスト1ミニットの配送ルートの最適化は、MaaSにおける旅客輸送の領域でも活かせる技術だ。そのため「モビリティプラットフォーム(仮称)」が活躍する場はたくさんあると考えられる。両社の取り組みは宅配業界からもMaaS業界からも引き続き注目されていきそうだ。
【参考】関連記事としては「ラストワンマイル系の物流ソリューション・サービスまとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)