国土交通省は2021年7月14日までに、「道の駅」などを拠点とした有料の自動運転移動サービスを福岡県みやま市で導入することを発表した。ヤマハ発動機製の自動運転カートを使用する。
道の駅での有料の自動運転移動サービスの導入は、秋田県北上小阿仁村、滋賀県東近江市蓼畑町に続いて3カ所目になる。
■電磁誘導線を使った自動運転、安全要員が同乗
みやま市での自動運転サービスは、バイオマスセンター「ルフラン」と地元商店を結ぶ走行ルートで、2021年7月19日から開始される。往復で約7.2キロの距離となっており、乗車運賃は1回100円、小学生以下と65歳以上は1回50円で利用できる。
月曜から金曜日の1日5便運行される。定員は6人で、乗客は4人までとなっている。走行速度は時速12キロ。走行ルートに電磁誘導線を敷設することで、自動運転を実現している。
走行中は地元のタクシー会社のドライバーが乗車するが、通常時はハンドル操作をすることはなく、運行の監視役という役割を担う。
現在はまだ安全を最優先し、電磁誘導線を使った時速12キロの自動運転かつセーフティドライバーが同乗するステージであることは理解できるが、地方都市における現実的な運用コストを考えると、電磁誘導式という安全性に考慮した仕組みを使うからこそ、無人化への飽くなき追求を期待したいところだ。
■道の駅で続々と自動運転移動サービスがスタート
国土交通省は2017年から、道の駅などを拠点とした自動運転サービスの実証実験を進め、2019年11月に初めて、道の駅などを拠点とした自動運転サービスが秋田県上小阿仁村で社会実装された。
上小阿仁村では道の駅「かみこあに」を拠点とした走行ルートで運行しており、利用者は1回200円で乗車することができる。運営主体はNPO法人「上小阿仁村移送サービス協会」で、地元の有償ボランティアが運行の監視を担当している。
【参考】関連記事としては「道の駅と集落結ぶ自動運転サービス、商用化が決定!まず秋田で」を参照。
2021年4月には、滋賀県東近江市蓼畑町でも自動運転移動サービスが社会実装された。道の駅「奥永源寺渓流の里」が拠点の走行ルートとなっていて、乗車運賃は1回150円だ。
また、日用品やキャンプ用品の運搬サービスも実施しており、1回100円で利用することができる。蓼畑町でも地元の有償ボランティアが運行の監視を担当している。
【参考】関連記事としては「運賃150円の自動運転サービス、滋賀県の道の駅で始動!全国2例目、電磁誘導型」を参照。
■【まとめ】持続可能性を有した交通手段に
地方では収益性の悪化によって公共交通のサービス縮小が顕著で、将来的に自動運転移動サービスが完全無人化され、運行コストがかなり少なく済むようになれば、持続可能性を有した交通手段として活躍するはずだ。
4カ所目、そして5カ所目の社会実装はどの街となるのか。引き続き、注目していきたい。
▼自動運転サービスの運行が始まります|みやま市
https://www.city.miyama.lg.jp/s006/kurashi/140/jidouunten.html
▼報道発表資料:中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービス 福岡県みやま市で本格導入へ(九州初):国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001470.html
【参考】関連記事としては「【資料解説】2021年版の国土交通白書、自動運転とMaaSにはどう言及?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)