タクシー配車アプリを展開するソニー系のみんなのタクシー株式会社(本社:東京都台東区/代表取締役社長:西浦賢治)は2020年5月17日までに、レストラン予約アプリを提供する株式会社TableCheck(本社:東京都中央区/代表取締役社長:谷口優)とフードデリバリーサービスの領域における業務提携に合意したことを発表した。
TableCheckは、世界25カ国・地域に飲食店の予約・顧客管理システムの提供などを行う日本の企業だ。みんなのタクシーが提供するタクシー配車アプリとTableCheckのシステムを組み合わせることで、タクシーによるフードデリバリーが実現する。
■日本で有償貨物運送の特例通達
新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた外出自粛要請などにより、飲食店・レストランにおけるテイクアウト・フードデリバリーの需要は増加している。
2020年4月21日には国土交通省が道路運送法に基づく「特例措置」として、緊急事態宣言期間に調整期間を加えた期間のみ、タクシー事業者による有償貨物運送の特例の通達が出された。そこで今回両社が連携し、2020年5月14日から特例措置期間が終了するまで、タクシーによるフードデリバリーサービスを提供する。
対象店舗は、予約顧客管理システム「TableSolution」を導入している東京都港区(お台場エリアを除く)にある飲食店とし、配送エリアは東京都港区、中央区、千代田区、新宿区、目黒区、品川区、渋谷区だという。
こうした「タクシー×デリバリー」の取り組みは国内でも盛んになりつつある。2020年4月には、東京都内タクシー大手の日本交通が東京都内一部の地域で、タクシーを活用したフードデリバリーサービスを開始したと発表した。
2020年5月1日には、タクシー配車アプリの「JapanTaxi」や「MOV」を運営するMobility Technologiesが、出前館とタッグを組んでフードデリバリーサービスを提供すると発表した。東京や大阪などの一部の地域で順次タクシーによるフードデリバリーサービスを開始するという内容だ。
■サービスエリア拡大に力を入れるみんなのタクシー
みんなのタクシーは、都内のタクシー事業者とソニーグループの合弁企業で、保有するタクシーは都内最大級の1万台規模だ。2020年5月12日から新たにサービス提供エリアに多摩地域(西東京市・立川市)が加わり、今後は順次全国へサービスエリアを拡充していく予定であることも発表されている。
新型コロナウイルスの拡大はタクシー需要を減らしたが、飲食業界との組み合わせはお互いに収益を伸ばすことに加え、社会的な意義も大きい。終息時期が見通しにくい中、業界の垣根を超えたこうした新たな動きに注目だ。
ちなみに自動運転ラボを運営するストロボ(本社:東京都港区/代表取締役:下山哲平)もフードデリバリーサービスの需要拡大を受け、近くタクシー事業者や交通事業者向けの「貨物配送・料理宅配関連事業進出支援・コンサルティングサービス」を開始する予定だ。
【参考】関連記事としては「「究極の貨客混載」は自動運転タクシーで実現する」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)