全日本空輸株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:平子裕志)=ANA=が羽田空港の制限区域内で、従業員の移動用に大型電気自動運転バスの試験運用に期間限定で取り組んでいる。
試験運用の取り組みは2021年2月12日まで実施され、2025年には旅客輸送における無人自動運転の実用化を実現したい考えだという。
■試験運用で「自動運転レベル3」で
ANAは2018年から電気自動運転バスの実用化に向けた取り組みを始めており、今回の試験運用では走行の安定性を向上させることに加え、遠隔制御性や操作対応性などの検証を行う。
報道発表によれば、自動運転用の高精度3次元地図として、国土交通省が試験作成したデータセットを使用する。ちなみに実証実験で使用されるバスは57人乗りで、試験運用にはソフトバンク子会社のBOLDLY(ボードリー)や先進モビリティなどが協力する。
自動運転の技術水準は「自動運転レベル3」(※国の呼称で言うところの「条件付自動運転車 ※限定領域」)相当で、基本的には発車・走行・減速・停止などの運転操作を全て自動運転で行うという。
ちなみに2025年を実現目標とする旅客輸送における無人自動運転は、「自動運転レベル4」(※国の呼称で言うところの「自動運転車 ※限定領域」)を想定しており、特定条件下においてシステムが全ての運転タスクを実行する形とする予定だという。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル3の定義や開発状況は?日本と海外の現状まとめ」も参照。
■「人の移動」と「荷物の搬送」の両面から
ANAは従業員や旅客の移動のためだけではなく、荷物搬送を無人化するための取り組みも行っている。2020年2月には豊田自動織機と共同で、中部国際空港の制限区域内において、自動運転トーイングトラクターによる荷物搬送の実証実験を行った。
トーイングトラクターとは貨物を搭載したコンテナをけん引する車両のことで、手荷物などを運ぶ役割を果たす。自動運転システムによる走行制御は良好で、障害物の未検知なども起きなかったという。
9〜10月にかけては九州佐賀国際空港の制限区域内でも実証実験を行い、実際の手荷物搬送のオペレーションで自動運転トーイングトラクターが使用された。「人の移動」と「荷物の搬送」の両面から自動運転技術を活用しようと取り組むANAに引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「あなたの手荷物を自動運転で!佐賀空港での搬送実証、ANAと豊田自動織機が発表」も参照。