米国で無人運転による自動運転タクシー(ロボタクシー)サービスを順調に拡大してきた米Google系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)だが、大雨による影響を受けやすいという弱点が判明した。
2025年9月にアリゾナ州フェニックスを襲った集中豪雨で、冠水している道路でWaymoのロボタクシーが動けなくなったのだ。他の車両がスムーズに走行しているのにもかかわらず、同社の車両が路上で立ち往生している様子を撮影した動画が複数投稿されるなど、地元でも大きな話題になっているようだ。
Waymoは世界で初めてロボタクシーサービスを商用化し、自動運転開発をリードする存在である。しかし雨や水たまりに弱みがあるのなら、早めの脆弱性解消が求められる。
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■Waymo車が水たまりで立ち往生
SNSに投稿されたある動画では「Waymo can’t deal with the rain(Waymoは雨に対応できない)」というコメントとともに、高速道路上で4台のWaymo車が一列に並び身動きが取れなくなっている様子が分かる。
雨はやんでいるが、大雨の影響により道路は冠水している。縦列になったWaymo車は、片側二車線の道路の1つをふさいだ。この様子を撮影していた車両をはじめ、他の人間のドライバーによる車両は、Waymo車が停止している水たまりがひどい部分を迂回して通行しているが、1車線しか使えないため渋滞が起きている。
動画には「こんなことはありえない」とWaymo車に向かってイライラしているような撮影者の声と、「でもあのクルマ誰も乗っていないよ」と話す子どもの声が入っている。
▼Redditに投稿された動画はこちら
https://www.reddit.com/r/phoenix/comments/1nreede/waymo_cant_deal_with_the_rain/
■Waymoは一時的にサービス停止
地元のテレビ局がWaymoの担当者に今回の状況について確認したところ、想定外の豪雨と雷という異常な気象という状況で乗客の安全を最優先にし、一時的にロボタクシーサービスを停止したと回答したようだ。また同社は今回の件で地元当局と連携するなどし、被災した車両を迅速に撤去する措置を講じたとも説明している。
フェニックスで一時的にサービスを停止したロボタクシーサービスは、2日後に全面的に再開したという。なおこのトラブルでは負傷者などの人的被害は起きていない。
■水の深さを測る機能がない?
今回の事態を受けて、道路が冠水したときのWaymo車の動作に対して不安を抱き、ロボタクシーサービスの安全性を懸念したり批判したりする声がSNS上で多数見られる。現時点では、急に発生した大雨や道路の冠水に対応する時間が十分になかったというのが専門家の見方のようだ。
アリゾナ州立大学先端テクノロジー学部のAndrew Maynard教授は、Waymo車のセンサーが、道路を覆った水が単なる水たまりなのか、深さを持ったものなのか判別できなかったために起こったと分析している。
■悪天候に備えた技術の確立が望まれる
これまでに何度も突然現れた障害物などをとっさに回避してきた実績のあるWaymo。当然のことながら、悪天候に備えた技術についても研究開発を行っている。しかし想定以上の状況が起こった場合は、停止するしか方法がなかったようだ。今後も悪天候などのたびにサービスを一時停止しているのなら、人間による運転に勝てるはずがない。
地球温暖化の影響により、豪雨や洪水、竜巻などの異常気象は世界中で増えている。自動運転車の実用化にあたっては、さまざまな状況を見込み安心・安全な自動運転走行を実現できない限り、ユーザーは安心して利用することができないだろう。
【参考】関連記事としては「Googleロボタクシーが「神回避」!1秒でハンドルを270度切る」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)