日本版ライドシェア、「完全解禁」見送り 開始1年、石破氏動かず

一時の議論の勢いに陰りが…

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出典:首相官邸

2024年4月に自家用車活用事業、通称「日本版ライドシェア」が始動して1年が経った。徐々に展開可能エリアや時間帯が拡大され、本来の意味での完全解禁、すなわちタクシー会社以外もライドシェアサービスの運営主体になれるようにすることに向け、政府が動き出すことを期待する世論も多かった。

しかし1年後の現在、ライドシェア完全解禁に向けての議論は停滞している状況にある。ライドシェアについての国会議員の意見も聞かれなくなり、石破首相も解禁に向けて動く様子はない。少なくとも開始1年での完全解禁は見送られた格好だ。

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■海外のライドシェアとの違いは?

海外で行われている一般的なライドシェアは、一般ドライバーが自家用車にて有償で乗客を運ぶサービスのことを指す。ドライバーは組織に属さない「ギグワーカー」となり、Uberなどのプラットフォームに登録して稼働することになる。

それに対し日本版ライドシェアは、タクシー事業者が主体となって行われる。ドライバーはタクシー会社のアルバイト・パートとして雇用され、基本的には時給制となっている。

業界最大手の日本交通では、日本版ライドシェアの出発式を2024年4月8日に葛西営業所で行った。斉藤鉄夫国交相と河野太郎デジタル相(いずれも当時)が参加してテープカットも行われ、華々しくスタートした。

出典:日本交通プレスリリース

■日本版ライドシェアの現状

日本版ライドシェアは、主に都市部や観光地などでのタクシー不足や、地域交通の「担い手」の不足といった問題に対応するために創設された新たな仕組みだ。

2024年4月のスタート時点では、東京23区や武蔵野市・三鷹市、神奈川県(京浜)、愛知県(名古屋)、京都府(京都市域)が先行4地域として選定されている。その後、同年5月に北海道(札幌)、宮城(仙台市)、埼玉(県南中央)、千葉(千葉)、大阪(大阪市域)、兵庫(神戸市域)、広島(広島)、福岡(福岡)の8地域が追加された。

エリアや事業者数などの最新情報は以下のページから確認できる。

▼日本版ライドシェア(自家用車活用事業)関係情報|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr3_000051.html

2024年9月には国道交通省が全国での導入方針を打ち出している。ただし実際の稼働率やドライバーからの意見はそれほど芳しくない。内閣府による調査によると、現在は制約が多く、希望通りの時間帯に稼働できないという声が多く出ているようだ。

■ライドシェア解禁についての議論は停滞

始動当初は、自民党の小泉進次郎元環境大臣ら超党派の国会議員が、2024年内に法整備の方向性を示すよう政府に求める提言の素案を取りまとめるなど、この問題についての議論が活発に行われていた。

しかし最近この話題が国会で議論されることはない。石破茂政権下においては、デジタル相に任命された平将明氏が、2024年10月の就任会見で「基本的な方針が固まっているので、そのスケジュールに沿って対応したい」と、ライドシェア全面解禁には慎重な姿勢を示している。

石破総理は同年11月に行われた政府の規制改革推進会議で、下記のように述べている。

「ライドシェアにつきましても本日多くの御意見を頂戴いたしました。すべての政策は、現状の的確な把握から始まるものであります。全国での移動の足確保の実態を客観的なデータで把握し、自家用車活用事業等のモニタリング、検証、評価を速やかに実施するなど、骨太方針に基づいた対応をお願い申し上げます」

2025年1月の衆院本会議では、立憲民主党の亀井亜紀子議員から石破総理へ「タクシー事業者の管理の下で運送サービスを提供する日本版ライドシェアが令和6年4月から開始されていますが、タクシー事業者以外の者が行うライドシェアの導入について、政府としてはどのような方向性を考えておられるのか、お答えください」との質問が出た。

それに対し石破総理は、「全国での交通空白の解消に向け、骨太方針に従い、日本版ライドシェアや公共ライドシェアの施策の実施効果を検証しつつ、地域交通の担い手や移動の足の確保の取り組みを強力に進めてまいる所存でございます」と答えている。

■石破総理は本格導入には消極的なのか?

石破総理も各政党の国会議員も、ライドシェア全面解禁への具体的な意見や取り組みを示していなく、現状は様子見といったような感じを受ける。

また全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)が2024年11月に首都圏在住のタクシー利用者を対象に実施した調査によると、「日本版ライドシェア」は言葉として74.1%が認知していたものの、制度理解については34.9%にとどまるという結果が出ている。

▼【調査】今春開始した「日本版ライドシェア」の制度理解34.9%、新たに法整備を検討中の「海外型ライドシェア」への不安6割、海外へのデータ送信には8割が不安
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000074305.html

世間の認知度や需要が上昇することが、石破政権下でのライドシェア本格解禁の議論が進む後押しになるかもしれない。しかしユーザー側にとっても現状はそれほどライドシェアが求められていないとも言える。

2025年度はどんな動きがあるのか、注視したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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