運転に自信・・・「70代」が全世代で1位 ”プリウスミサイル”の引き金に?

全国1万人調査、高齢男性ほど運転に自信

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日本人は高齢になるにつれて運転に自信を持つということが、このほど調査により判明した。自分の運転への自信の有無について、「自信がある」「どちらかといえば自信がある」と答えた割合は、調査対象となった世代の中で70代が男女ともに最も高かった。

またADAS(先進運転支援システム)搭載のクルマを購入しない理由として、「自分の運転に危険性を感じないから」と回答した70代の割合は高くなっている。こういった自分の運転への自信が、「プリウスミサイル」とも呼ばれる高齢ドライバーによる交通事故につながっている可能性がありそうだ。

▼自動車の先進安全技術の理解度・運転に対する意識を調査「令和5年度 ASV機能に関する調査」(国土交通省) 分析結果
https://www.sc-abeam.com/news/article/20240919-1/

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■年代が上がるにつれて運転に自信

今回の調査は、全国の運転免許を保有する18~79歳の男女1万人を対象に2024年2月に行われた。

調査を行ったのは、住商アビーム自動車総合研究所だ。同社は国土交通省が推進する「第7期ASV推進計画」において、普及啓発活動を受託している。その活動の一環として、国土交通省が行った「令和5年度ASV機能に関する調査」の調査結果を分析し、ASV機能の理解度に見られる特徴などを2024年9月19日に発表した。なおASVは「Advanced Safety Vehicle」の略で、先進安全自動車のことを指す。

自分の運転への自信の有無について、「自信がある」「どちらかといえば自信がある」と答えた割合は、70代男性が77%と最多で、60代男性は74.7%、50代男性は69.2%、40代男性は64.6%、30代男性は60%、18〜29歳男性は55.7%と、若くなるにつれて自信を持つ割合は減少している。

女性は、70代で49.9%、60代で40.7%、50代で41.8%、40代で40.9%、30代で38.5%、18〜29歳で35%となっている。女性においても、70代が運転に自信を持っている割合が一番高いということになる。

出典:住商アビーム自動車総合研究所

■運転支援機能搭載車への乗り換え意向は半分程度

調査ではADAS(先進運転支援システム)の理解度についても聞いている。高齢になるにつれ理解が劣っていくわけではなく、50〜70代でそれほど違いはない。男性は女性より「新しい機能は試してみたい」と思う人が多く、女性は男性より「新しい機能は苦手」な人が多い。

各運転支援機能の付いた車については、「運転に自信がある」と回答したうちの23%が「すでに乗り換えた」、30.5%が「乗り換えるつもりがある」と答えている。反対に46.5%が「乗り換えるつもりがない」としている。

また「運転に自信がない」と回答したうちの16.3%が「すでに乗り換えた」、33.7%が「乗り換えるつもりがある」、50%が「乗り換えるつもりがない」と答えている。運転に自信がない人の方が、運転支援機能搭載車への乗り換え意向がないという面白い結果となった。

また「高齢者扱いされたくない」と思う人のうち28.9%が運転支援機能搭載車に乗り換え済みで、43.1%は乗り換えるつもりがないという。反対に「高齢者として丁寧に接してほしい」人のうち19.4%が乗り換え済み、50.7%が乗り換えるつもりがないとの結果が出ている。

出典:住商アビーム自動車総合研究所

■運転に危険を感じていない高齢者

ASV搭載車に乗り換えない理由は、男女共に全ての年代で「買換えようと思っていないから」が1位となっている。また男性では「危険を感じない」は70代と60代で14.2%、50代で11.1%、40代で13.2%、30代で17.4%、19〜29歳で11.1%という割合になった。女性における危険を感じていない割合も、70代が多い傾向にある。

自分の運転に自信がある割合と同様、年代が上がるにつれて危険を感じていないようだ。運転歴が長いことが、そう感じさせているのだろうか。

ただし70代男性の15.2%、70代女性の29.9%が、買い替えない理由として「運転をやめる」を挙げている。そろそろ運転をやめたいと思いつつも、自分の運転技術に自信があり危険を感じていないため、実際に運転をやめることを決断できないでいるとも言い換えることができるかもしれない。

出典:住商アビーム自動車総合研究所

■自動運転が高齢車事故の削減に寄与

高齢ドライバーによるブレーキとアクセルの踏み間違いや、ハンドル操作ミスなどによる重大事故は社会問題になっている。年齢が上がるにつれ判断力や瞬発力が劣っていくのは事実で、ドライバーはそれをしっかりと認識する必要がある。

しかし特に地方では公共交通が十分でなく、移動に不便なため免許を返納せず運転を続けている人も多い。各自治体ではこの問題を解決するため、自動運転バスの実用化を進めている。本格的な自動運転社会実現の大きな目的の1つは、高齢者による交通事故の大幅な減少と言えるだろう。

今後の政府や各都道府県などでの自動運転実装の取り組みに期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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