タクシー配車アプリ最大手の「GO」を展開するGO株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:中島宏)は2024年1月18日までに、「日本型ライドシェア」の導入を検討するタクシー事業者に対し、ライドシェア運転手の採用支援などを開始することを発表した。
東京ハイヤー・タクシー協会が同年1月10日に、日本型ライドシェア開始を表明したことを受けてのものになる。
■GOが行う4つの支援
GOは、スムーズな日本型ライドシェアの導入検討を推進するため、関連する制度などの情報提供や採用、保険等全体の準備項目のガイダンスなどを行い、実際の導入に必要と想定される下記4つの事項について、準備を進めていく。
- ①ドライバー向けアプリの開発・提供
- ②タクシー事業者/自治体向け管理システムの開発・提供
- ③ドライブレコーダー等の機器類の提供
- ④「ライドシェアドライバー」採用支援
GOは専用の相談窓口を開設し、導入のためのさまざまな必要項目に対して、要望ごとに柔軟に対応していくという。全国の自治体からの相談も受け付ける。同社のこれまでの取り組みやGOの開発運用で培ったテクノロジーとノウハウを生かし、タクシー事業者や各自治体の課題解決に貢献できるようサポートするとしている。
【参考】関連記事としては「ライドシェア「タクシー会社による雇用が条件」 政府方針、骨抜きの解禁か」も参照。
■タクシーアプリGOの実力
GOは、日本交通とDeNAが出資するモビリティテクノロジー企業だ。日本交通ホールディングスとDeNAがタクシー配車アプリなどに関する事業を統合する計画を2020年2月に発表した。日本交通の子会社であるJapanTaxiのアプリ「JapanTaxi」とDeNAのアプリ「MOV」を統合するほか、日本交通とDeNA出資のもとJapanTaxiをMobility Technologiesに改称した上でモビリティ関連事業をいっそう強化していく狙いがあった。
同年9月に、両アプリの統合を見据えた新たなアプリ「GO」をリリースし、2023年4月には商号も「GO」に変更した。タクシーアプリのGOは現在、累計1,800万ダウンロードを達成し、日本国内45都道府県で提供している。
2021年11月からは法人向け管理サービス「GO BUSINESS」の提供も開始、現在7,000以上の企業が登録している。そのほか、交通事故削減を支援する次世代AIドラレコサービス「DRIVE CHART」や、脱炭素サービス「GX(グリーントランスフォーメーション)」、ドライバー求人サイト「GOジョブ」なども展開している。
【参考】関連記事としては「タクシー配車大手GO、IPOへ準備中!ライドシェア解禁、逆に追い風に」も参照。
■東京タクシー・ハイヤー協会の計画概要
今回GOが導入を支援する日本型ライドシェアについても説明する。
政府は、2024年4月からライドシェアを部分的に解禁することを決めた。2023年12月20日に開催された第3回デジタル行財政改革会議で決定した。
タクシー会社が運行を管理し、車両不足が深刻な地域や時間帯に絞って限定で解禁するという内容で、運転手はタクシー会社が雇用する。なおアプリ事業者らの新規参入を含む全面解禁については引き続き議論を行い、2024年6月までに結論を出す予定だ。
この決定を受け、東京都内のタクシー会社で構成される東京タクシー・ハイヤー協会は、2024年4月から都内でライドシェアサービスの開始を目指すことを表明し、ガイドライン案を「日本型ライドシェア」として発表した。
タクシー会社は、運転手とパートタイムなどの雇用契約を結ぶ。運転手は20歳以上70歳未満で、第1種運転免許(普通免許)の取得後1年以上であることが条件になる。運行と車両整備などについては、タクシー会社が管理する。使用するのは白ナンバーの自家用車で、通信型ドライブレコーダーと衝突被害軽減ブレーキの装備を必須とする。
■まずは4月に部分的解禁へ
ライドシェア導入については、運賃競争の激化や犯罪が発生する恐れがあることを理由に、タクシー労組らが2023年11月に反対集会を行っている。
政府がまずはタクシー会社主導でのライドシェアを導入することを決定したのには、ライドシェアの運用効果や社会受容性を計測するといった意味合いもありそうだ。
なお東京タクシー・ハイヤー協会の会長である川鍋一朗氏は、GOの代表取締役会長でもある。同氏はガイドライン案の発表に際し、タクシー不足が深刻になっている現状において、既存のタクシー事業で人員の拡充を図る一方、ピーク時にドライバーが不足する際はライドシェアが担うという考えを示している。
まずは日本人にライドシェアという形態が受け入れられるのか、部分的解禁の行方を見守りたい。
【参考】関連記事としては「ライドシェア制度、OECD諸国の34%が今も未整備 日本を含む13カ国」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)