WHILLの自動運転クルマ椅子、「累計利用20万回」を達成

空港や病院で利用可能なパーソナルモビリティ

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出典:WHILLプレスリリース

次世代型パーソナルモビリティによる「WHILL自動運転サービス」の累計利用回数が、20万回を超えた。このサービスを提供するWHILLがこのほど、これまでの取り組みを数字やデータで振り返るインフォグラフィクスを公開し、判明した。

WHILL自動運転サービスは、デザイン性と走破性に優れたパーソナルモビリティに自動運転・自動停止機能などを搭載した「WHILL自動運転モデル」を活用し、広い施設内の特定の目的地まで自動走行で移動できるサービス。「自動運転クルマ椅子」とも呼べそうなサービスだ。

空港における自動運転パーソナルモビリティとして世界で初めて2020年7月から羽田空港で導入された。医療機関などでも導入が進んでいる。

■電動車いす「WHILL」とは?

WHILL社は、電動車いすとも言える「WHILL」を開発している。提供プランには「自動運転モデル」と「スタンダードモデル」の2つがある。

自動運転モデルでは、施設のニーズにあわせた目的地と自動走行ルートの設定が可能になっている。カメラやセンサーにより、走行中に障害物を検知し、障害物の手前で静止するという衝突回避機能を搭載している。また、目的地に到着後は指定のステーションまで自動で走行する自動返却機能も備わっている。

ユーザーはWHILLに装備されたタッチパネルでの簡単な操作により、走行をスタートさせることができる。複数言語を設定することも可能なため、海外旅行客の多い空港での利用にも対応している。

WHILL社は、施設運用者が導入しやすく、運用しやすい機体管理システムを提供し、施設の規模やニーズにあわせたモデルやプランの提案を行っているという。

■大規模施設の移動に便利なWHILL

今回公表されたインフォグラフィクスによると、WHILLの取扱店舗総数は全国約3,000店舗となった。そのうち自動車ディーラー正規取扱店は、2020年の20店舗から2023年には1,300店舗と、大幅な増加を達成した。

WHILLの試乗会は年間300回以上実施しており、多くの人がWHILLを体験できるようになった。またWHILLモビリティサービスの満足度は、10段階評価で平均8.7と、高評価を得ているようだ。

その理由として、「人に押してもらわなくても自ら移動できる」「足の痛みのため長距離が難しかったが、痛みなく利用ができた」「静かだし、移動も快適だった」といったユーザーからの声が寄せられている。

出典:WHILLプレスリリース
■体制強化によりWHILLの中古車販売なども視野

WHILL社は、近距離モビリティ業界のエコシステム構築に向け日本事業部の体制を強化することを2024年1月4日に発表した。

モビリティ販売事業とモビリティサービス事業の2事業を日本事業部全体で統括する。それにより、あらゆる人が当たり前に、いつでもどこでも快適に近距離移動できる世界を目指し、近距離モビリティを利用できるエコシステム確立を加速させるという。

モビリティ販売事業では、日常利用向けの直販や代理店販売を行っている。今後は下取り、認定中古車販売といった二次流通体制やローンの整備などを進めていき、自動車産業と同様の循環システムを構築していく計画だ。

またモビリティサービス事業では、空港や病院で自動運転モデル、商業施設やテーマパークといった大型施設では自身で操作するスタンダードモデルを展開している。今後はモビリティサービスを導入する場所である「WHILL SPOT」を全国各地に拡大していくとともに、導入施設側の円滑運用を支えるソフトウェアサービスやエンドユーザーがより便利にモビリティサービスを利用できる仕組みを提供していく方針だ。

出典:WHILLプレスリリース
■2024年はWHILLの展開拡大に期待

WHILLは普段車いすを利用していない人でも、長距離・長時間の徒歩での移動が必要な場面において、一時的に気軽に使える移動サービスとして展開されている。

2024年はWHILL SPOTの展開拡大により、さまざまな場所でWHILLを見かけたり利用したりする機会がますます増えそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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