三菱重工、海外での「全自動運転列車」ビジネスが絶好調

米オーランド国際空港でリプレイス工事など受注

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出典:三菱重工プレスリリース

三菱重工業株式会社(本社:東京都千代田区/取締役社長CEO:泉澤清次)は2023年11月3日までに、米フロリダ州のオーランド国際空港向けに、全自動無人運転車両システム(APM:Automated People Mover)既存2路線のリプレイス工事を受注したことを発表した。

これは2018年納入の新設・既設路線工事に次ぐ受注となり、同空港の全路線が三菱重工製のAPMになるという。また同社は、このAPMの運行・保守(O&M:Operations & Maintenance)についても受注した。

三菱重工は全自動運転列車ビジネスを海外で順調に拡大させているようだ。

■完全自動走行する新交通システム

APMは電気駆動により完全自動走行する新交通システムで、ゴムタイヤ方式を採用しているため走行が滑らかかつ低騒音であるのが特徴となっている。

今回の契約は、統括拠点である米国三菱重工業と、米国で空港向けAPMの運行・保守を手掛ける三菱重工グループのCrystal Mover Services(CMSI)を通じ、オーランド空港公団との間で契約を締結した。

オーランド空港は2つのメインターミナルと5つのサテライトで構成されており、この契約により、ターミナルA・Bと第2・第4サテライトをそれぞれ結ぶ約0.6キロのAPMシステムをリプレイスする。三菱重工がシステム設計と車両製造を手掛け、4編成・計12両の新車両は広島県の三原製作所が製造を手掛けるという。営業運転開始後は、CMSIが最長30年間のO&Mを担当する。

なお三菱重工は、2014年にもオーランド国際空港向けに、都市間鉄道と接続する複合交通ターミナルとメインターミナルを結ぶ全長約2.3キロのAPM新設工事と、メインターミナルと第1・第3サテライトをそれぞれ結ぶリプレイス工事を受注している。

■海外空港での多数のAPM導入実績

三菱重工は、海外でのAPMシステムの新規・更新需要をターゲットにおいた輸出用車両として「Crystal Mover(クリスタルムーバー)」を開発している。これはゴムタイヤ方式のAPM車両で、1両に定員100人前後の乗客を乗せ全自動無人運転が可能になっている。主に空港のターミナル間や空港周辺施設への移動用として使用されているという。

同社は、これまでにも米国の空港におけるAPM供給やO&Mの実績を多数持つ。

2005年10月に米アトランタ国際空港向けAPMを受注した。これは米国向けとしてマイアミ国際空港向けAPMとワシントン・ダレス国際空港向けAPMに続き3件目の受注となった。アトランタ国際空港での営業運転は、2009年12月にスタートしている。

2014年7月にオーランド国際空港の建設工事を受注、同年12月に米ワシントン・ダレス国際空港のAPMのO&M契約を10年間延長したことを発表した。また2018年2月にタンパ国際空港のAPMが完成したことを発表、2022年2月にマイアミ国際空港ノースターミナル線のAPMのO&M契約を更新した。

タンパ国際空港向けAPM=出典:三菱重工プレスリリース

さらに、三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング(MHIEN)のAPMは、シンガポールのチャンギ国際空港や韓国の仁川国際空港、香港国際空港、ドバイ国際空港などでも運用されているという。

■日本発の「全自動運転列車」がますます

三菱重工グループは今後も世界各国のサービス拠点と連携し、CO2を排出しないクリーンな輸送手段であるAPMの納入を通じ、世界各地の経済発展や交通利便性向上といった地域課題への対応と解決策の提供を目指すとともに、カーボンニュートラル社会の実現にも貢献していくという。

日本発の「全自動運転列車」が、今後ますます世界で採用されていくことが期待される。

【参考】関連記事としては「自動運転と三菱重工(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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