東大発の自動倉庫ベンチャーRENATUS、米国上場に挑戦 「超高効率」に強み

米国での事業展開と資金調達を加速へ

B!
出典:RENATUS ROBOTICSプレスリリース

東京大学発の物流ロボティクスベンチャーであるRENATUS ROBOTICS株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:大澤琢真)=レナトスロボティクス=は2023年9月29日までに、米ナスダック市場への上場に向け、米国での事業展開や資金調達を加速させることを明らかにした。

同社は東大発のAI(人工知能)ロボティクス企業TRUST SMITHグループで、超高効率の自動倉庫システム「RENATUS」の開発や提供を手掛ける注目企業だ。米国法人のほか、その100%子会社にあたる日本法人の2拠点で事業を展開している。

■「ワンストップ梱包型の次世代倉庫」

レナトスロボティクスはTRUST SMITHグループのカーブアウト法人として、日本法人は2022年2月に設立された。最先端のロボティクス・数理アルゴリズム技術を活用した「ワンストップ梱包型の次世代倉庫」の設立ソリューションの開発・導入や自動倉庫運営、配送代行事業を手掛けている。

同社は、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)と内閣府、経済産業省が日本全国のスタートアップの海外展開を支援する「グローバル・スタートアップ・アクセラレーションプログラム(GSAP)」のDeep Techコースに選定されたことを2023年9月25日に発表した。

今後、このコースの委託先である米カリフォルニア大学バークレー校発の世界的なスタートアップ・アクセラレータ・プログラム「Berkeley SkyDeck」の約12週間のプログラムを受講し、ナスダック上場に向けた米国での事業展開や資金調達を行っていく予定だ。

■自動倉庫システム「RENATUS」とは?

レナトスロボティクスが開発する「RENATUS」は、世界初の「ワンストップ梱包」を可能にする自動倉庫システムだ。このシステムには3つの特徴がある。

1つ目は「業界最速クラスのハイスピード」で、作業員と比較した場合、最大20倍高速化されているという。2つ目は「最先端の独自制御技術」だ。集約・検品・梱包といった作業を1人で完結することができ、現場の作業員数の最小化を実現した。また作業効率は3倍になっている。

3つ目は「さまざまな棚のレイアウトに柔軟に対応可能」なことで、2,000台のロボットが独自アルゴリズムにより協調動作したり、業界最速昇降ユニットが荷物を輸送したりといったことを可能にしている。なお荷物は順立てされステーションに到着するという。

■TRUST SMITHグループに要注目

レナトスロボティクスは、ユニコーン(創業10年以内で評価額10億ドル以上の未上場のベンチャー企業)を目指すとも発表している。

同社は200万ドル(約3億円)の資金調達を実施し、シードラウンドをファーストクローズしたことを2023年5月に発表している。今後、早いスピードで次の資金調達ラウンドに進んでいくことが予想される。

将来的には、アームロボットによるピッキング自動化や、自動運転技術を活用したトラック運搬の自動化、ドローン配送の技術を実装し、「完全自動倉庫」を実現することを計画しているようだ。

グローバルな活躍が期待されるレナトスロボティクスに、今後も注目していきたい。また、高い技術力が強みのTRUST SMITHグループ各社の動きも注視していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



B!
関連記事