米GM傘下のCruise(クルーズ)の自動運転車が、またトラブルを起こしたようだ。同社の自動運転タクシー(ロボタクシー)の1台が、米カリフォルニア州サンフランシスコの公道で、舗装工事中の乾いていないアスファルトにはまってしまったという。米メディアが報じている。
カリフォルニア州規制当局はCruiseに対し、市内のドライバーレスでのタクシーサービスの拡大を2023年8月10日に承認したばかりで、今回のトラブルはその数日後に起こったという。
■周囲にはコーンが設置されていたが…
トラブルが発生したのは、サンフランシスコ市内の路上。Cruiseのロボタクシーは道路工事中でまだ乾いていないコンクリートにタイヤが埋まり、立ち往生したという。
同市の市公共事業局によると、工事現場の周囲にはコーンが設置され、旗を持った作業員が立っていたという。そういった状況で、なぜロボタクシーが工事中のコンクリートの中に落ちたのかは、現時点では不明のようだ。
米メディアには、工事中と思われるアスファルトにCruiseのロボタクシーの前輪がホイールの高さほどまで沈みこんでいる写真が掲載されている。
幸い今回のトラブルによる負傷者が発生しなかったという。道路は今後、Cruiseの費用負担により舗装し直すようだ。
■これまでにもたびたびトラブル
GM Cruiseは2021年6月、米カリフォルニア州からドライバーレスでの自動運転タクシーのサービス許可を取得したことを発表している。同州でこの許可を取得したのはGM Cruiseが初めてだった。
その後、従業員らを対象にサービス実証を重ね、2022年2月に対象を一般住民に拡大し、サンフランシスコで自動運転タクシーサービスを開始した。同年9月には、アリゾナ州フェニックスとテキサス州オースティンにサービスを拡大することが発表された。
このように着々と自動運転開発を行っているCruiseだが、トラブルは何度も起こしている。今年に入ってからは、2023年1月にもあった。Cruiseの自動運転車が消火活動中の現場に接近し、消防士はCruiseの車両が消防車のホースの上を走り消火活動の妨げになるのではと考え、窓ガラスを割って車両を停止させたという。
また3月には、サンフランシスコを走行中に進入禁止テープに絡まり停車したというトラブルを起こしている。前日に発生した嵐の影響により、木や電柱が倒れ、注意喚起のために黄色のテープが設置されていたが、それを検知できなかったという。
■住民からの信頼を高めていく必要性
Cruiseは先日、カリフォルニア州公共事業委員会(CPUC)の承認により、サンフランシスコ全土でドライバーレスの有料サービスを24時間提供可能になった。
24時間営業が可能になったことで、マネタイズへ向けて前進していくであろうが、トラブルが頻発すると利用客の増加に影響してくる。住民からの信頼をどう高めていくか、今後のCruiseの課題の一つだ。
▼Cruise公式サイト
https://getcruise.com/
【参考】関連記事としては「Googleの自動運転タクシー、「24時間営業」解禁でマネタイズに道筋」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)