自動運転モビリティを開発しているエストニア企業Clevon(クレボン)は、配送サービスなどを手掛ける米PostNet Northlakeと共同で、商用での自動運転ロボットによる郵便物の配送を米テキサス州ノースレイクで開始する。
このサービスはすでに2023年7月の時点で数週間にわたり試験運用されており、PostNet Northlakeのオフィスから半径数マイル以内に住む地元住民向けに自動運転で小包が届けられており、このたび商用化することになった。
■PostNetの郵送サービスを自動化
PostNetは世界中に約700の拠点を持ち、中小企業や一般消費向けに印刷・発送サービスを行う企業だ。PostNet Northlakeは、そのフランチャイズとなる。
元々PostNet Northlakeは地域住民や企業向けに、郵便受付や荷物の取り扱いサービスを行っていたが、Clevonと提携することにより、自動配送が実現した。Clevonの自動運転ロボットは、月〜金曜日の午前9時から午後5時まで、ユーザーが希望する配達時間に玄関先まで荷物を届けることができる。また、今後はこれまでの配達業務に加え、食料品などのデリバリーも行うようだ。
今回の取り組みに関してノースレイク市長は「Clevonの技術が商業的に展開され、市内の小売店やレストランに利益をもたらすことに興奮している。Clevonは商品の輸送方法を永遠に変え続けており、今後さらに応用されていくことに期待している」と述べている。
■自律走行配送ポッド「Clevon 1」が活躍
Clevonはエストニアのテック企業Cleveronから独立し、2022年に設立された。同国のヴィリャンディを本拠とし、自律走行配送ポッドを開発している。2022年9月に米テキサス州フォートワースに拠点を開設し、北米進出を果たしている。
今回の郵送物の自動配送で用いられるのは、Clevonが開発する最先端の「自律型ロボットキャリア:Autonomous Robot Carrier(ARC)」だ。同社が公開している画像によると、自律走行配送ポッド「Clevon 1」が用いられるようだ。自律走行配送ポッドとは、自動配送ロボットよりは大きく、自動運転タクシーよりは小さい、ミドルサイズのモビリティを指す。
Clevon 1は収納ボックスを載せる部分を用途に応じて交換することができ、最大で1.5立方メートルの収納スペースを確保することができるという。公式サイトによると、最高時速は約29キロ、航続距離は約80キロとなっている。
■米国のラストワンマイル配送を変えるか
Clevonの自律走行配送ポッドは、すでにヨーロッパで3年以上公道走行をした実績がある。エストニアではケンタッキーフライドチキン(KFC)の自動運転デリバリーサービスでも、Clevon 1が採用されている。
今回のノースレイクでのサービス開始は、米国での記念すべきファーストステップとなるようだ。同社の米国での今後のビジネス展開に弾みをつけることができるか、今後も注目していきたい。
▼Clevon公式サイト
https://clevon.com/
【参考】関連記事としては「自動運転で無人配送、ケンタッキー(KFC)が北欧エストニアで実現」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)