米マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏が、自動運転車に乗っている動画が公開された。同氏がTwitterで投稿したもので、「最近Wayveの自動運転車の1つに試乗する機会があった。かなりワイルドなライドだった」とコメントしている。
ゲイツ氏が乗ったWayveの自動運転車とは、どんなものなのだろうか?
■ビル・ゲイツ氏が体験した自動運転
ビル・ゲイツ氏が自動運転を体験したのは、英国のスタートアップWayve(ウェイブ)が開発した自動運転システムが搭載されたジャガーのEV(電気自動車)「I-PACE」だ。動画では、英ロンドンの繁華街をテスト走行する様子が紹介されている。
ゲイツ氏は助手席に、後部座席にはWayveの共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のAlex Kendall氏が座っている。運転席には同社の社員がセーフティドライバーとして同乗しているものの、ハンドルを握ることはない。
自動運転車は、人や自動車や自転車が行き交う道路をスムーズに走行している。途中停車し、買い物をする場面もあった。ゲイツ氏はWayveのAI(人工知能)がクルマをどう変えていくかなどといった説明を興味深く聞き、乗車を楽しんでいるようであった。
■「1つの都市で運転を学び、その知識を応用」
なおWayveの公式サイトでは、ゲイツ氏のコメントが紹介されている。
「他の自動運転技術は、特定のマップ上の道路でのみ機能する。Wayveの技術は、人間のドライバーが1つの都市で運転を学び、その知識を新しい場所での運転でも応用するようなイメージで作動する」「自動運転車にとって、これまで見た中で最も困難な状況を選んだことを評価したい」
他社と違ったアプローチで自動運転開発を進めるWayveを、ゲイツ氏が高く評価していることが分かる。
■Wayveとマイクロソフトの関係
Wayveは、英国の名門ケンブリッジ大学の研究チームが2017年に設立したスタートアップだ。地図データが不要で、エンジニアが運転ルールをコードで記述しなくても、AIによる自動運転が可能になる「AV2.0」という技術を開発している。初めての道路でも自動運転が可能になる技術だという。
同社は2022年1月に、シリーズBラウンドで2億ドル(約230億円:当時のレート)の資金調達を終えたことを発表した。出資企業には、マイクロソフトも名を連ねていた。
同年5月には、Wayveはマイクロソフトとの協業を発表した。マイクロソフトのスーパーコンピューター技術を活用し、膨大なデータ処理を行っていくという内容だ。
ゲイツ氏がマイクロソフトを退任したのは2020年3月だったため、Wayveへの出資や協業に関わっていたかは不明だ。しかし、今回のテストライドにより、同氏が個人的にもWayveへの好感と関心を持っていることが判明した。Wayveにとって力強い援軍ができたということになるだろう。
▼Wayve公式サイト
https://wayve.ai/
【参考】関連記事としては「初めての道路でも自動運転可!英Wayve、2億ドルを資金調達」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)