ソニーとホンダが「ソニー・ホンダモビリティ株式会社」を設立したことを発表した2022年10月13日の記者会見。会見において、開発予定の自動運転車で「運転以外の楽しみを提供する」ことについて語られたことは、注目すべき点であろう。
自動運転技術が高度になると、人間がハンドルを握って運転するシーンが減っていく。クルマ好きの人の中には運転自体が楽しみだった人も少なくないはずで、その楽しみに代わる「新たな楽しみ」を提供していく、というわけだ。
では新会社で将来的に提供する運転以外の楽しみとは、いったいどのようなことなのだろうか。
■リアルとバーチャルの世界を融合
記者発表では、「リアルとバーチャルの世界を融合していくことで、移動空間をエンタテインメント空間、感動空間へと拡張。メタバースなどデジタルをフルに活用し、新しいエンタテインメントの可能性も追求」すると説明されている。
たとえば、車室空間に大型ディスプレイを複数設置し、VR(仮想現実)やメタバースなどの技術によって仮想空間への没入感を得られるエンターテインメントを提供することだろうか。エンタメはソニーの強みであり、こうした展開は十分に考えられそうだ。
メタバースの世界が映し出されたディスプレイに観光のアバターガイドが登場し、車両の位置情報に合わせてさまざまな情報を車の乗員に教えてくれる、といったこともあり得るかもしれない。
【参考】関連記事としては「ソニーの自動運転車「VISION-S」を徹底解剖!センシングとエンタメで本領発揮」も参照。
■どんな「運転以外の楽しみ」が搭載される?
ちなみに記者会見では、安心安全な「自動運転レベル3」の自動運転を目指していくことが説明された。
レベル3は特定エリア・一定条件下における自動運転を可能にする水準で、ホンダはすでに2021年3月にレベル3搭載の新型LEGENDを発売している。ソニー・ホンダモビリティとしての第1弾の製品は、2025年前半から受注を開始し、同年中に発売する予定だという。
自動運転技術に関してももちろん注目だが、どんな「運転以外の楽しみ」が搭載されるのかにも関心が集まりそうだ。
【参考】関連記事としては「メタバースだけじゃない!GAFAMが次に狙う「車内エンタメ」の有望性」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)