国内外でスマートシティに向けた取り組みが着々と進められており、埼玉県さいたま市も例外ではない。「大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区」「美園地区」を先行モデル地区として、スマートシティ関連の取り組みを推進している。
さいたま市の取り組みでは、健康で環境にやさしい「脱クルマ依存型生活行動」を支えつつ、地域回遊性を高めるため、モビリティサービスの充実を図ることを施策の1つに掲げている。すでに実証実験も実施されている。
■オンデマンド交通、「今後も利用したい」大多数
スマートシティ推進のため、さいたま市は計画している施策は以下の3つだ。
- モビリティサービスの充実
- 「ライフサポート型MaaS」の構築
- スマートプランニングによるウォーカブルな都市空間・環境の形成
このうち「モビリティサービスの充実」では前述の通り、すでに実証実験も実施されている。具体的には、「AIオンデマンド交通サービス」と「シェア型マルチモビリティ」の実証実験だ。
AIオンデマンド交通サービスの実証実験としては、2021年3〜4月に浦和美園駅周辺で「みそのREDバス」の実証実験が行われた。専用アプリで乗降場所を選び、予約状況に合わせてAI(人工知能)が最適なルート設定や配車を行う「相乗り交通サービス」だ。
実証実験終了後の利用者アンケートによると、今後の利用については大多数(78人中76人)が「『積極的に』もしくは『機会があれば』利用したいと思う」という意向を示しており、「脱クルマ」(=脱自家用車)に向けた第一歩となった。
今後はサービスの本格導入を目指し、運行車種や台数、運行範囲の改善などサービスの効率化を図り、スマートシティ化を進めていく狙いだ。
▼「みそのREDバス」第1弾実験結果
https://www.misono-tm.org/uploads/2021/07/pj11079-1b.pdf
まだ実験結果は公表されていないが、2021年12月〜2022年2月にかけて第2期の実証実験も実施されている。
■それぞれの施策の進捗に注目
さいたま市はこのほかの施策として「ライフサポート型MaaSの構築」と「スマートプランニングによるウォーカブルな都市空間の形成」も掲げている。
「ライフサポート型MaaSの構築」では、路線バスや鉄道などの既存の公共交通と、シェア型マルチモビリティなど新たなサービスとの連携により、移動の総量の増加や利便性の向上を図る。さらに新サービスのアプリで商業施設などの情報を発信することで外出のきっかけを作り、公共交通の利用と地域消費を誘発することを目指す。
「スマートプランニングによるウォーカブルな都市空間の形成」では、歩行者の移動量や滞留量のデータとさいたま市の3D都市モデルデータを都市基盤の整備に活用するようだ。
いまさまざまな自治体でスマートシティや新たなモビリティの動きが見え始めている。さいたま市が実証実験を通じてどのような手応えを得られるのか、それぞれの施策の進捗に注目したい。
【参考】関連記事としては「埼玉×スマートシティ、MaaSに加え自動運転サービス導入も視野」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)