渋滞問題の解消や山間部での移動、災害時の救急搬送や孤立集落への物資輸送・・・。「空飛ぶクルマ」はさまざまな可能性を秘めており、機体の開発や実証実験に乗り出す企業が増えてきた。
こういった状況の中、国土交通省は2022年3月31日までに、空飛ぶクルマの試験飛行などに関するガイドラインを発表した。ガイドラインの内容は以下のリンクから確認することが可能だ。
▼試験飛行ガイドラインを公表しました|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000213.html
■飛行場所の選定や機体の基準を策定
国交省は現在、2025年の大阪・関西万博での空飛ぶクルマの実現に向け、官民連携で取り組みを進めている。今回発表されたガイドラインは、実現に向けたスピードを加速させるために、試験飛行に関する基準などを明確にするために策定された。
具体的には、飛行場所の選定や機体に関する安全性確認、操縦者の技能・健康状態といった項目に関し、基準が示された。
その上で飛行場所の選定については、「航空機は、原則、空港等から離着陸し、150m以上の高度を飛行することが必要」としながらも、「試験飛行等を行う場所は、民間企業や公的な研究機関等のグラウンド、公園や海上などの開けた場所が想定されます」としている。
また、空港以外の場所などで離着陸を行う場合については「周囲に離着陸の障害となる構造物がないか等を確認の上、場外離着陸場における離着陸の許可を受けることが必要」と説明している。
見学者がいる場合は?
ガイドラインでは、空飛ぶクルマの試験飛行を見学する人がいる場合の対応についても明記してある。
具体的には①見学区画の制限②ついたてなどの第三者への危害を防止するための措置③監視のための人員の配置——などの安全対策の必要性を挙げており、こうした内容を申請書に記載するよう求めている。
■試験飛行に関する申請先を一元化
ガイドラインでは試験飛行に関し、手続き方法が簡略化されていることも明記されている。
従来は申請者が関係当局や部署に書類をそれぞれ提出し、許可を受ける必要があったが、今後は手続きの申請先が国土交通省航空局安全部の「次世代航空モビリティ企画室」に一元化される。
【参考】関連記事としては「国交省に「次世代航空モビリティ企画室」新設!空飛ぶクルマに本腰」も参照。
■機体を開発する各社の動きが活発化?
試験飛行の基準が明確化され、さらに申請手続きの手間も減ることで、今後は空飛ぶクルマの試験飛行がより実施しやすくなるはずだ。機体を開発する各社の動きが一層活発化するか、注目したい。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは?実現時期や技術的要件は?(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)