日立チャネルソリューションズは2021年11月11日までに、自動墨出しロボットシステム「SumiROBO」を本格的に提供開始することを発表した。研究目的や自社利用以外で墨出し作業を自動化するロボットの商用化は「国内初」だという。
自動墨出しロボットは自動車の自動運転のように、センサーを使って障害物を避けることもできるという。
■そもそも「墨出し」とは?
「墨出し」とは、建築工事において必要な線や寸法を表示することだ。昔は大工が墨と糸を使って墨出ししていたが、現在はマジックペンやレーザーを使うことがほとんどだが、少子高齢化の影響もあり、建設業界では墨出し作業の効率化も求められている。
墨出し作業とそれに関連する業務は建築工事全体において決して少ないものではなく、墨出し作業を自動化できれば、結果的に建築工事の工期を短くすることが可能になってくる。省人化した分、人件費の負担を減らせることも、工事業者にとっては大きい。
■3つのセンサーを搭載するSumiROBO
自動墨出しロボットシステムは「墨出しデータ作成アプリ」「コントロールアプリ」「墨出しロボット」「測量機」で構成されている。
墨出しデータ作成アプリがCADデータを座標データに自動変換し、それがタブレット端末のコントロールアプリに転送される。このコントロールアプリから墨出しロボットが制御される仕組みだ。自動追尾型測量機と連携させることで、高精度な作業を実現する。
sumiROBOの本体には「前方センサー」「下方センサー」「バンパーセンサー」が搭載されており、非常停止ボタンもある。日立チャネルソリューションズが開発してきた警備ロボットなどで培ったセンサー技術が、自動墨出しロボットの実現に貢献した。
sumiROBOに関しては、タブレットで墨出し作業の範囲や進入禁止範囲を指定することもできるほか、冒頭触れた通り、障害物を検知した際には自動で回避ルートを探索し、作業を継続する。
■プロトタイプで試行重ね、商用化へ
センシング技術とメカトロニクス技術に強みを持つ日立チャネルソリューションズ。今回商用化したsumiROBOについては、今春にプロトタイプを開発し、オフィスビルや商業施設など多様な条件下の建設現場で試行を重ねてきた経緯があるという。
建築現場のアップデートに向け、今後もどのようなソリューションを展開するのか、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「日立が実は、真っ先に「自動運転」に張っていた!」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)