2019年3月25日に奈良市と奈良県タクシー協会奈良支部会の間で、「道路損傷等による危険個所の情報提供の協力に関する協定」が締結された。
この取り組みは市内を走るタクシーの運転手に道路の凸凹やひび割れなどの損傷について情報提供をしてもらい、道路状況の把握をより迅速に行うためのものだ。台風や大雨による冠水などの災害情報についても正確な情報を素早く集めることができることが期待されている。
この取り組みは既存の交通サービスを活用したスマートな取り組みと言える。毎日市内をくまなく走行するタクシードライバーが「ついで」に報告を行うだけなので、導入の手間と費用が抑えられる。
■このスキームに秘めた可能性
今回の取り組みはドライバーによる目視が前提となっているが、さらなる革新が起こる可能性を秘めている。
例えば、タクシーにカメラやセンサーを設置して、AI(人工知能)による画像認識で道路損傷を自動検出できるようなれば、人の目視の手間は無くなる。インターネットと車をつなげる「コネクテッド技術」が搭載されるようになれば、自治体への報告もシステムからリアルタイムで行えるようになる。
タクシーに限定せず、一般車両にも導入すればさらに多くの情報を集めることができる。ただし、移動に関する情報はプライバシーの観点から見て秘匿性の高いものだ。一般に導入する場合はあらかじめ位置情報の提供について告知し、同意を得ることが必要になるだろう。
奈良市と奈良県タクシー協会奈良支部会の取り組みに今後も注目していきたい。
【参考】関連記事としては「村田製作所の新路面感知システム、道路保全にも自動運転社会にも貢献」も参照。