東京工業大学と株式会社リコー、産業技術総合研究所で構成される研究グループは2019年2月21日までに、消費電力が低い極小型の原子時計を開発したと発表した。自動車やスマートフォン、小型衛星などさまざまな機器へ原子時計を組み込むことが可能となり、自動運転技術の進化にも貢献する。
完全自動運転の達成にはGPS(全地球測位システム)による高精度な測位が求められる。現状のクオーツ時計を介したシステムでは時差の影響により正確な測位を行うことができず、技術上の課題となっていた。1メートルは「真空中で1秒の299792458分の1の時間に光が進む行程の長さ」と定義されているように、正確な距離(長さ)を測るためには、精度の高い時間の計測が必要となるためだ。
今回開発に成功した原子時計は「ULPAC」と呼ばれ、従来の大型で消費電力が大きい原子時計とほぼ同等の精度を持つ。発表によれば、従来型の水晶発振器を利用した時計と比較すると、約10万倍正確だという。
これまで数百立方センチだった原子時計を15立方センチまで小型化したことで、自動運転車への搭載が十分に想定できるサイズとなった。東京工業大学では5年後の発売を目指して開発を進めているという。
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