製品評価技術基盤機構が実施した調査結果によれば、日本人の1日あたりの運転時間は1人約80分らしい。人が全く運転に関与しなくてもよい完全自動運転が実用化されれば、この80分は「自由時間」となる。
将来この自由になった時間、人々は車内で何をするだろうか。電車に乗っている時間に人々がしていることを考えれば、多くの人がスマートフォンを触るかもしれない。しかし恐らく手持ち無沙汰で何となくスマホを触っている人も少なくないはずで、アプローチの仕方によれば各個人に消費行動を喚起することも可能なはずだ。
いま既にこの「自由時間」に一部の企業が既に目をつけており、サービス開発などに乗り出している。車に乗る人に情報を提供するインフォテインメント事業のほか、インターネットサイトにおけるランディングページのように、車に乗っている間に何かを買ってもらおうという広告も有望だろう。
特に広告関連に関しては、アメリカだけでも2030年には50兆円規模のマーケットサイズになるという調査もある。「モビリティ×広告」では最近日本でタクシーの後部座席向け広告などがあるが、自動運転車ではハンドルやブレーキが要らず、前を見る必要もないため、より車内の空間デザインの自由度が上がり、広告配信方法も多様化していく。
いまはまだ自動運転車自体が市販化されていないため、こうした事業に取り組んでも売上はゼロだ。ただ今からサービスを開発することで、将来的に大きなマーケットシェアを得ることができる可能性は十分にある。「攻め」の姿勢を示す企業はどこか?いまから注目していきたい。
ちなみに製品評価技術基盤機構の調査結果は「https://www.nite.go.jp/chem/risk/exp_4_1.pdf」からダウンロードできる。「自動車の運転時間(週平均)」はPDF13ページ目に示されている。
【参考】関連記事としては「自動運転の広告市場、年50兆円規模に googleシェア60%と試算」も参照。