米ニューヨーク市議会が2018年8月8日、ライドシェアサービスの車両台数を規制する条例案を可決したことが明らかになった。交通渋滞緩和やドライバーの労働環境の改善などが主な狙い。自由の国の象徴都市でライドシェアの締め付けが強化されたことに危機感を持つ事業者らは、抵抗の姿勢を見せている。
規制はウーバー(Uber)やリフト(Lyft)などライドシェアサービス事業者の新規車両登録を1年間許可しないことや、最低料金の引き上げが主となっている。同様の議案は3年前にも提出されたが、当時はウーバーがキャンペーン広告を出すなど抵抗したことが奏功し、廃案となった。
ニューヨーク市当局によると、ウーバーやリフトなど同市のライドシェアサービスの車両台数は2015年の1万2600台から8万台強へと急増しており、タクシー業界への打撃やドライバーの労働環境の悪化が表面化している。失業保険の受給資格をめぐる裁判も取りざたされ、7月には米ニューヨーク州労働委員会がライドシェアのドライバーに受給資格を認定する裁決を下している。
■ウーバーの100万ドル支援、NYは拒否
一部報道によると、ウーバーやリフトは議案の修正や廃案に向け、ニューヨーク市に「条例案の修正に応じれば100万ドル(約1億1000万円)の支援を行う」旨を提案したが、ニューヨーク市はこれを拒否したという。
ドライバーの労働環境やタクシー事業者との摩擦は世界各国で顕在化しており、規制の在り方やライドシェア事業者の今後の動きに注目が集まりそうだ。
【参考】ニューヨーク市のライドシェアをめぐる問題については「ライドシェア大手ウーバーの登録運転手、アメリカで失業保険の受給できることに|自動運転ラボ