茨城県境町は2021年8月5日までに、町内で運行している自動運転バスのルートの拡大について発表した。ルート拡大のほか、平日に加えて土日祝日の運行と貨客混載の運行も開始し、LINEでオンデマンド運行の乗車予約も可能になるようだ。
■境町を走行する自動運転バスの概要
境町では2020年11月からソフトバンク子会社のBOLDLYとともに、町内で自動運転バスの定常運行を約8カ月間にわたって安定的に行なってきた。これまで延べ約3,100人の乗客が利用し、総走行距離は約6,500キロメートルにも及ぶ。
ちなみに自動運転バスにはセーフティドライバーが同乗しており、バスには従来型のハンドルなどは搭載されていないが、ゲーム用のコントローラーで停止車両の回避や緊急時の操作ができるようになっている。
遠隔監視にはBOLDLYの自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher」が活用されており、車両メンテナンスは自動運転ソリューションプロバイダーのマクニカが担っている。
■ルートの新設と拡充、土日祝日運行も開始
まず冒頭触れたルートの拡大は、定期便ルートの新設と拡充によるものだ。
新設されたのは、「境町高速バスターミナル〜道の駅さかい」間の往復8キロの定時便ルート。拡充されたのは「シンパシーホール〜河岸の駅さかい」間の約5キロのルートで、ルートを「シンパシーホール〜道の駅さかい」まで伸ばし、約6キロのルートとなった。
報道発表では、いずれは自動運転バスの運行ルートを町内全域に拡大する予定だとしている。このほか、住民からの要望が多かったことから、土日祝日も運行を開始した。また、今夏から貨客混載の運行もスタートするとしている。
■モニター向けにオンデマンド運行も開始へ
このほか、町民の中からモニターを募集し、オンデマンド運行を開始することも明らかにされた。オンデマンド運行では、LINEでのバスの予約や定時便の時刻表の確認をできるようにするという。LINEからの予約情報はDispatcherで処理し、車両に最適な運行指示を送る。
オンデマンド運行では合計26カ所で乗降が可能で、スマートフォンを持っていない人でも利用できるように、複数のバス停に自動運転バスの呼び出しが可能なタブレット端末を設置する予定のようだ。
■【まとめ】横展開にも期待、今後に注目
自動運転バスが走行するルートは、特別に整備されたスマートシティの公道というわけではない。ごく一般的な公道だ。そのため、境町での運行の成果はほかの地域でも生かせ、これからの横展開も十分に考えられる。今後もプロジェクトの進捗に注目だ。
▼BOLDLY公式サイト
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【参考】関連記事としては「自動運転バス×データを考える BOLDLYとWestern Digitalが対談」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)