ソニーグループが保有するAIとIT技術を活用して開発されたタクシー配車アプリ「S.RIDE(エスライド)」を展開するS.RIDE株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:橋本洋平)の第7期(2024年4月〜2025年3月)決算公告が、官報に掲載されている。
第7期の当期純利益は、前期比55.8%減の2億2,433万円であった。2期連続で黒字を達成したものの、純利益は大幅減という結果になった。なお過去5期の純損益の推移は、以下の通りとなっている。
<純損益の推移>
・第3期:▲4億1,295万9,000円
・第4期:▲3億3,078万円
・第5期:▲1億1,870万円
・第6期:5億789万7,000円
・第7期:2億2,433万円
※▲はマイナス
【参考】関連記事としては「ソニー系のタクシーアプリ、設立後6期で黒字化達成!S.RIDE決算」も参照。
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■第7期決算概要(2025年3月31日現在)
貸借対照表の要旨(単位:千円)
▼資産の部
流動資産 3,033,082
固定資産 216,170
資産合計 3,249,252
▼負債及び純資産の部
流動負債 467,740
固定負債 200,446
株主資本 2,581,065
・資本金 100,000
・資本剰余金 2,730,000
・・資本準備金 2,730,000
・利益剰余金 △248,934
・・その他利益剰余金 △248,934
・・(うち当期純利益)(224,330)
負債・純資産合計 3,249,252
■ワンスライドで一番近くのタクシーを配車
2018年5月設立のS.RIDEは、タクシーアプリ「S.RIDE」の提供のほか、タクシー事業者などに向けた配車ソフトウェア・システムの企画・開発・サービス提供を行っている企業だ。2021年1月に「みんなのタクシー株式会社」から社名変更した。なお、みんなのタクシーは都内タクシー会社5社(グリーンキャブ・国際自動車・寿交通・大和自動車交通・チェッカーキャブ)と、ソニーおよびソニーペイメントサービスの合弁企業であった。
S.RIDEの配車アプリの大きな特色は「即時配車」機能だ。アプリの画面上の矢印をスライドするだけで、最も近くにいるタクシーを簡単に配車することができる。タクシーは約4分で迎えに来ることが可能になっている。また日時と迎車地点を指定できる「配車予約」機能もあり、予約枠はAI技術によって常に調整されているという。
現在のサービス提供エリアは、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・宮城・石川・愛知・静岡・大阪となっている。2025年6月には累計400万ダウンロードを突破したことを発表している。
■自動運転実用化に向け公道データ収集を開始
S.RIDEは自動運転開発も積極的に行っていることで知られている。2025年5月には、AIを活用した自動運転ソフトウェアを提供する英Wayve Technologiesと協業し、運転支援・自動運転AI開発に活用する公道データの収集を首都圏を中心にスタートしたことを発表している。
S.RIDEはWayveが開発する運転支援・自動運転向けAIモデルの学習用に、日本の交通環境や運転特性といった公道データを収集していく。データ収集は、東京都内で事業を展開するタクシー会社と順次連携して行っていくようだ。
■ライバルのDiDiは…
なおタクシー配車アプリとしてライバル的存在となるDiDiモビリティジャパンも、最近第8期の決算を発表している。DiDiの業績は赤字が続き、当期純損失は前期比250%増の10億9,000万円であった。
都市部や観光地ではタクシー需要が高まっている反面、地方ではタクシー会社の倒産も増えている。S.RIDEもDiDiも都市部を中心にサービス展開に注力するほか、ライドシェアや自動運転など新しいサービス・技術の開発に取り組んでいくのだろうか。引き続き注目だ。
※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。
【参考】関連記事としては「DiDiが赤字2倍強!第8期決算は損失10.9億円」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)