DiDiが赤字2倍強!第8期決算は損失10.9億円

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出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

タクシー配車アプリ事業を手掛けるDiDiモビリティジャパン株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:和久山大輔)の第8期(2024年4月〜2025年3月)決算公告が、このほど官報に掲載された。当期純損失は、前期比250%増の10億9,000万円であった。前期に引き続き、今期も売上高の記載はなかった。

過去5期の売上高と純損益の推移は、以下の通りとなっている。前期まで減り続けていた損失だが、今期では大幅な赤字を計上している。今回は売上高が決算公告に掲載されていないものの事業は拡大しているとみられ、今後の決算にも注目したい。

<売上高の推移>
・第4期:5億4,100万円
・第5期:9億8,900万円
・第6期:20億1,100万円
・第7期:—
・第8期:—

<純損益の推移>
・第4期:▲21億9,700万円
・第5期:▲19億8,000万円
・第6期:▲8億4,300万円
・第7期:▲4億3,500万円
・第8期:▲10億9,000万円
※▲はマイナス

■第8期決算概要(2025年3月31日現在)

貸借対照表の要旨(単位:百万円)

▼資産の部
流動資産 3,918
固定資産 18
資産合計 3,937
▼負債及び純資産の部
流動負債 1,572
賞与引当金 47
固定負債 2,990
株主資本 △626
資本金 100
資本剰余金 1,643
その他資本剰余金 1,643
利益剰余金 △2,369
その他利益剰余金 △2,369
(うち当期純損失)(1,090)
負債・純資産合計 3,937

■ソフトバンクと中国配車大手の合弁

出典:DiDi公式サイト

DiDiモビリティジャパンは、中国のDidi Chuxing(滴滴出行:ディディチューシン)とソフトバンクが国内で次世代のタクシー配車サービスを提供することを目的に2018年6月に設立した合弁会社だ。現在は北海道・宮城・東京・埼玉・千葉・神奈川・山梨・静岡・愛知・京都・大阪・兵庫・奈良・広島・福岡・佐賀・長崎・沖縄でサービスを展開している。

2025年5月には累計1,000万ダウンロードを突破したことを発表し、「アプリ手数料のいらない」お得なタクシーアプリとして順調に支持を拡大しているようだ。また「乗車ごとに最大1.5%のポイントが貯まる」ほか、「新規ユーザーなら最大5,000円分のクーポンをプレゼント」などのサービスがあり、さまざまな面で「おトクに使えるタクシーアプリ」としての認知が広がっている。

さらに「平均5分以内でタクシーが到着する」迅速な配車体験や、多くのエリアで提供する「日本版ライドシェア」サービス、沖縄・福岡における「運転代行配車」、東京におけるハイヤーサービスの「DiDi Special」なども提供しており、使い勝手の良さが人気となっている。

■お得なキャンペーンを長期開催中

DiDiモビリティジャパンは2025年6月、エムケイ西日本グループおよび名古屋エムケイと提携し、関西・九州・沖縄・中部エリアにおいて約550台の車両をサービス対象として、タクシー配車サービスの提供をスタートした。さらに同年7月には東京都個人タクシー協同組合と提携し、同組合に所属する約5,000名の個人タクシー事業者に対して、順次配車サービスの提供を開始している。

お得なキャンペーンを多数展開していることでも知られているDiDiモビリティジャパン。全国15エリアで初めてDiDiを利用する人向けに総額5,000円分が無料になるキャンペーンなどを行っている。現在は顧客獲得や新サービス開始のための種まきに注力している段階なのかもしれない。

今後のDiDiモビリティジャパンに引き続き注目だ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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