パキスタンの若者が、コンピューターのキーボードでマニュアル車を運転することに成功した。本人が公開している動画では、運転席が無人で後部座席からキーボードでクルマを操作する様子を見ることができる。
運転席だけを見ると、人がいないのにハンドルが勝手に動き、その様子がまるで自動運転のようだと注目されている。(そう、これは「手動運転」だ)
この動画自体は3カ月前に公開されていたのだが、最近になり現地のインフルエンサーが紹介したことで、より多くの話題を集めることになった。
■ゲームのようにクルマを操作しようと開発
自家用車を自動運転車に似せて設定したのは、20歳のEhsaan Abbasiさんという若者だ。彼はプログラミングやエンジニアリングの正式な知識や経験はなかった。しかしゲーム好きのためキーボードによる運転を実現したいという好奇心から、クルマとキーボードを接続し操作するシステムを開発した。この開発には半年を費やしたという。
現地メディアのインタビューによると、Abbasi氏はクルマの配線をキーボードに接続し、さまざまな機能を制御することに成功したという。キーボードのキーだけでエンジンをかけ、クルマを走行させることができるようになった。彼は現在、クルマを遠隔操作するための技術開発に取り組んでいるようだ。
■「運転席無人」で走行、自分は後部座席に
Abbasi氏のYouTubeチャンネルで公開されている動画では、同氏が運転席の後ろに座り、キーボードでクルマを運転する様子を見ることができる。運転席のヘッドレストは外され、誰も座っていない。
キーボードには数本のケーブルがつながれ、キーボードのエンターキーなどいくつかのキーでハンドルを操作しているようだ。クルマは狭い道を結構なスピードで走行している。無人の運転席だけを見るとハンドルが自動で動いているようで、ドライバーレスの自動運転車に乗っているようにも感じる。
なおこの改造に用いられたクルマは、スズキのコンパクトカー「アルト」のマニュアル車のようだ。これを専門知識を持たない若者が手作りで改造し、キーボード1つで運転できるようにしたのだ。
■若者の発想力がモビリティ革命を起こす?
ゲーム機のようにクルマを操作するという技術は、すでに自動運転車でも取り入れられている。自動運転バス・シャトルの先駆けとして世界各地で多くの導入実績を誇る仏Navya(現Gaussin Macnica Mobility)の自動運転シャトル「ARMA」では、家庭用ゲーム機「Xbox」のコントローラーが手動操作のための端末として採用されている。
ARMAは自動運転レベル4で走行することを前提に設計された車両で、ハンドルがないのが特徴となっている。現在、茨城県境町などで定常運行している。
今回パキスタンの若者が発明した技術は、一般的なパソコンのキーボードでクルマを操作するというものだ。この技術を発展させれば、さまざまな用途に活用できるかもしれない。彼が現在開発中の、キーボードで車両を遠隔操作する技術がどんなものに進化していくのか、興味深い。
【参考】関連記事としては「目撃談相次ぐ!自動運転バス、Xboxのコントローラーで手動操作!?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)