「働きたい時間」と「働いて欲しい」時間をマッチングするスキマバイト募集サービス「タイミー」。働き手側としては隙間時間を有効に使え、企業側は繁忙期・時間帯の人材確保ができるツールとして、いま利用者が急上昇中だ。
内閣府が公表している資料を読み解くと、そのタイミーがライドシェア参入を視野に入れている可能性が浮上した。労使(ドライバー側とタクシー会社側)の直接契約が前提とされているなら、タイミーの参入できる余地は十分にあると考えられる。
【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?仕組みは?(2024年最新版)日本の解禁状況や参入企業は?」も参照。
■「タイミー×ライドシェア」のイメージ図
内閣府の規制改革推進会議は2024年4月11日、「第10回 地域産業活性化ワーキング・グループ」を開催し、「自家用車活用事業」と「移動の足不足に関する担い手の確保」に関して議論を行った。
▼第10回 地域産業活性化ワーキング・グループ
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/240411/local10_agenda.html
移動の足不足に関する担い手の確保について、タイミー執行役員スポットワーク研究所所長である石橋孝宜氏によるプレゼンテーションが行われ、ライドシェアのドライバー確保でタイミーを活用するスキームのイメージが紹介されている。
以下の資料のPDF10ページ目を参照してほしい。
▼ライドシェアに関する意識調査結果
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/240411/local02_01.pdf
■あくまで仲介、契約は「直接型」
ライドシェアのドライバー確保でタイミーを活用する場合、どのようなイメージになるのか。
まずライドシェアの利用者は、タクシー会社に配車依頼をする。タクシー会社はタイミーを通してワーカー(ドライバー)をマッチングし、短期間・単発の就労を内容とする直接雇用契約を結ぶ。その上でドライバーが乗客を希望の場所まで運ぶといった流れになる。
乗車終了後には、タクシー会社とドライバーは相互評価を行う。その後タイミーからドライバーへ報酬が振り込まれる。タイミーは月末締めでタクシー会社に一括請求を行う。
タイミーの仕組みにより、働きに来たワーカーの中から求める能力を満たす人を評価すれば自動でグループが作成され、ワーカーが振り分けられる。そのため企業独自のグループ作成も可能になり、次回の募集時にはグループごとに求人を出すこともできるという。
資料にはタイミーがライドシェアに参入するとは記載されていないが、参入を視野に入れての国の会議でのイメージ図の紹介と考えていいのではないか。
■ワーカーの43.1%が「意向あり」
現在の政府の方針では、ライドシェアドライバーはタクシー会社が雇用するという前提となっている。前述のタイミーのスキームでもタクシー会社とドライバーが直接契約を結ぶことになるため、導入されても問題ないようにみえる。
タイミーにはすでに日本全国で700万人以上のワーカーが登録している。これまでタイミーを通して飲食店などで働いていた人が、ドライバーとしても活躍することになるかもしれない。
2024年3月にタイミーのワーカー1,004人に対して意識調査を行ったところ、隙間時間に仕事を探しているワーカーの43.1%が、ライドシェアのドライバーになる「意向あり」と回答したという。その理由として、「副業として追加収入を得られそうだから」「シフト制ではなく好きな時間に働きたい」という回答が多かった。ドライバーとして働くにあたり、「働く時間や場所を自由に決められること」が特に重要視されていることが分かった。
これらの結果を踏まえ、ライドシェアの導入にあたりドライバーを確保するために、タイミーは「好きな時間・好きな場所で自由に働ける柔軟な働き方」と「働いたその日に報酬が得られる」という点が重要な要素だと考察しているという。
注目度が高まっているタイミーの今後のライドシェアビジネスへのアプローチに注目だ。
【参考】関連記事としては「ライドシェア運転手、まさかの「シフト制」!それで10万人も確保可能?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)