ドローン・エアモビリティ専門投資ファンドであるDRONE FUNDは2023年3月1日までに、水上ドローンなどを開発する炎重工株式会社(本社:岩手県滝沢市/代表取締役:古澤洋将)へ出資することを発表した。
炎重工はこの資金調達により、遠隔操作・自動運転船舶ロボット「Marine Drone」の製品開発や組織体制を強化することで、事業成長の加速を目指すという。
■自動給餌や水上移動カフェなどで活用も!?
2016年設立の炎重工は、水上ドローンのほか生体群制御や水中カメラ、産業用CPUボードなどの開発を手掛けるスタートアップだ。
同社が開発するMarine Droneは、遠隔操作・自動運転型の水上ドローン(自動船舶ロボット)。日中や夜間、天候に関わらず安全に水上作業を行うことができ、河川湖沼の浮遊ゴミ回収オプションや、環境調査に関する装置の搭載などカスタマイズ可能だという。
ミニボートなどの法令に準拠しており、導入にあたり船舶免許や船舶検査は不要となる。パソコンやタブレット無しで簡単に操縦でき、指定の船体を自律移動船舶化することにも対応している。また、オプションにより水中・水上カメラを搭載した場合、遠隔地へ映像を伝送することもできる。
使用用途としては、水産養殖での自動給餌・港湾設備や密漁の監視などの警備警戒・インフラのメンテナンスのほか、水上移動するカフェ・レストランや水上コンサートなど、幅広い展開が期待されている。
なお同社は、2025年に開催の大阪・関西万博の開催予定地・夢洲でのMarine Droneを使用した実証実験「都市型自動運転船『海床ロボット』による都市の水辺のイノベーション実証実験」にも採択されている。
■有力スタートアップに出資するDRONE FUND
DRONE FUNDはドローン特化型ベンチャーキャピタルで、2017年に設立された。これまでに空飛ぶクルマ開発のSkyDriveやテトラ・アビエーションにも出資している。
今回炎重工へ出資を決定した理由として、DRONE FUND共同代表の大前創希氏は「一般的に水上ドローンは、空中を舞台に活躍するドローンに比べ、重力に反した動きをしないため、エネルギー効率に優れている」と説明。さらに「また、現行の法令下で実装可能なサイズでの展開を行っていることから、スピーディーなプロダクト導入が期待される点に魅力を感じた」とコメントしている。
水上・船舶業界において、Marine Droneは人力で行っていた作業を代替することができ、人手不足や重労働などのさまざまな課題解決に貢献することに期待したい。
【参考】関連記事としては「夢洲で実証!自動運転、空飛ぶクルマ・・・、次世代技術たくさん 実施候補者決まる」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)