自動運転車や自動配送ロボットは、「無人」で走行できることが最大の強みだ。そのため、なるべく人の手によるメンテナンスが必要ないようにすることが、その強みを生かす上で非常に重要なポイントとなる。
こうした視点において、注目したいトピックスがある。タイヤ大手の米グッドイヤーと自動配送ロボットを開発する米Starship Technologiesの取り組みだ。両社は非空気式のエアレスタイヤを自動配送ロボットに使い、メンテナンスの回数が少なく済むよう工夫している。
要は、自動配送ロボットをなるべく24時間365日働かせるための取り組みと言える。
■エアレスタイヤはパンクしない
この取り組みは2022年1月に発表された。エアレスタイヤにはパンクという概念がなく、従来型のタイヤのように定期的な空気圧のチェックも必要ない。また、グッドイヤーが開発したエアレスタイヤは従来のタイヤよりも寿命が長いという。
すでにグッドイヤーのエアレスタイヤをはめた自動配送ロボットで、実証実験が始まっている。実証場所はオハイオ州のボーリング・グリーン州立大学で、「初期試験データでは、トレッド摩耗、ブレーキ、振動減衰に関して良好な結果が得られています」としている。
ちなみにこのエアレスタイヤは、Starship Technologies側の要望を受け、グッドイヤーが開発したという経緯がある。Starship TechnologiesはグッドイヤーのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)から出資を受けており、素晴らしいシナジーが生まれた格好だ。
■せっかくの高い収益性を維持するために
自動運転タクシー用の自動運転車や自動配送ロボットは、当然ながら稼働時間が長ければ長いほど多くの収益を生み出す。それなのに「メンテナンスのために数日は工場行き」といったことが頻繁に起きると、せっかくの高い収益性が台無しだ。
こうして考えると、今後は特に自動配送ロボットにおいてはエアレスタイヤが主流になっていくかもしれない。
■自動配送ロボット、開発や実証サービスが加速中
自動配送ロボットは現在、ロボット自体の開発と実証サービスが加速しており、今後実用化例も増えてくると考えられる。つまり、自動配送ロボットの市場は今後大きく拡大する。
グッドイヤーが開発したエアレスタイヤがこうした有望市場で展開されていくことを考えると、非常に大きなポテンシャルを秘めていると言えそうだ。
【参考】関連記事としては「自動配送ロボット(宅配ロボット)最新まとめ!国内外で開発加速」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)