「移動」に関するイノベーションといえば「自動運転」が脚光を浴びがちだが、「ルート最適化システム」にも注目だ。徐々に市場も形成されている。
米調査会社のGlobal Industry Analystsが2021年4月に出版した市場調査レポート「ルート最適化ソフトウェアの世界市場」によれば、ルート最適化システムの世界市場は2020年の36億ドル(約4,000億円)から、2027年には72億ドル(約8,000億円)に達すると予測されている。
新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、EC(電子商取引)での商品購入が盛んに行われるようになっている中、配送を効率化するルート最適化システムの需要はより高まっていきそうだ。
■日本郵便が導入拡大、オプティマインドのシステム導入
日本でもルート最適化システムを導入した実証実験が盛んに行われるようになりつつあり、日本郵便も取り組みを実施している。
日本郵便はAIスタートアップのオプティマインドなどとともに、配達状況に応じてルートをリアルタイムで再計算する仕組みを2020年6月に導入し、2021年5月には導入規模を全国の500局に拡大することを発表した。
この取り組みで活用されているのが、オプティマインドが提供するルート最適化サービス「Loogia(ルージア)」だ。配送先の訪問順や経路のルーティング機能、配送中の状況変化に対応するルート再計算機能、目的地までの音声ナビゲーション機能などを有している。
■労働力不足&宅配便増加、ルート最適化システムは有望市場
ルート最適化システムを提供している日本企業は、オプティマインド以外にもある。「LYNA」を展開するライナロジクス社や「LogiSTAR配車管理簿」を展開するパスコ、「GuRutto」を展開するジオインフォシステム社、ゼンリンや日立などもルート最適化システムを提供している。
冒頭でも触れたが、日本では労働力不足が続く中、宅配便の取り扱い個数は年々増加している。国土交通省のデータによれば、2020年12月の宅配便取扱個数は前年同月比で13%増の5億個規模となっている。
そんな中、ルート最適化システムは確実に物流事業者にとって需要があり、有望な市場と言える。ルート最適化システムに関しては、世界市場の拡大スピードよりも、日本市場の拡大スピードの方が早いかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転×宅配、ルート最適化AIとECを結ぶ「コネクタ」の重要性」も参照。