ライドシェアが普及していない日本だが、実はライドシェアが住民に便利に使われ、普及しつつある街がある。大阪府池田市伏尾台ニュータウンだ。
大阪府池田市伏尾台ニュータウンでは2020年1月から、住民主体の配車型ライドシェアサービス「らくらく送迎」に取り組んでおり、1年間で延べ1,000人以上に利用されているという。
■ドライバーも住民、利用者も住民
「らくらく送迎」のサービスは、伏尾台創生会議と大阪大学、スタートアップ企業の株式会社Momo(本社:兵庫県神戸市/代表取締役:大津真人)によるコミュニティから誕生し、定期ミーテイングなどでの検討を通じて、機能実装や機能追加が続けられている。
サービスを支えるドライバーは住民で、もちろん利用者も住民だ。気になる運営費についてだが、Momo社の報道発表によると、「ニュータウンに独自のWi-Fiを普及させ、その収益で賄っていく」と説明されている。
ライドシェアのためのシステムなどはMomo社が開発しており、配車予約はスマートフォンやパソコンから可能なほか、高齢者向けの配車予約専用デバイスも用意されている。配車予約専用デバイスは高齢者でも使いやすいよう、シンプルなリモコンのような端末だ。
報道発表によれば、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響で利用者が一時的に減少したものの、病院やクリニックへの受診で移動を必要とする高齢者は利用を続け、地域に無くてはならないサービスとして根付きつつあるようだ。
こうした取り組みを必要としている全国のオールドニュータウンは多いとみられ、Momo社による横展開にも注目が集まりそうだ。
▼Momo公式サイト
https://momo-ltd.com/
■富山県朝日町では「ノッカルあさひまち」が実証中
ちなみに似たような取り組みとして、富山県朝日町では自治体が主体となり運営するライドシェアサービス「ノッカルあさひまち」がある。
この「ノッカルあさひまち」は、ご近所さんの自家用車でのお出かけに、ついでに「乗っかる」ことができるサービスで、人口減少や高齢化などから地方の公共交通機関が減少傾向にある中で、住民の足を確保する新しい施策として注目されている。
現在はまだ実証実験の段階のようだが、朝日町とスズキ、博報堂による協議会のもとで運営されており、博報堂とスズキは国内の似たような地域でこのサービスを活用し、地方活性化に貢献したい考えのようだ。
▼ノッカルあさひまち/朝日町ホームページ
https://www.town.asahi.toyama.jp/gyosei/gaiyo/kotsu/1594702432592.html
住民同士が助け合う形で各地で運営されているライドシェアに、今後も注目だ。
【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?2020年代に日本でも?現在の規制と特区制度まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)