GW中、83%が「タクシー乗れない経験」!ライドシェア全面解禁は必要不可欠か

京都など観光4都市で調査

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今年のゴールデンウィーク(GW)中に京都など主要観光4都市を訪れた人で、タクシーを利用しようとした人のうち83%が、タクシーがつかまらないことがあったと回答したという調査結果が、2024年5月19日までに明らかになった。

内閣府が主導する「地域産業活性化ワーキング・グループ」において、モビリティプラットフォーム事業者協議会が提出した資料により判明したもので、依然としてタクシーの需要が足りていない状況にあることが分かる。

タクシー会社を主体とした日本版ライドシェアが2024年4月に解禁されたが、今後は全面解禁による交通手段の拡充が求められそうだ。

▼第14回 地域産業活性化ワーキング・グループ 議事次第
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/240515/local14_agenda.html
▼GW期間中のタクシー需給動向等調査について|モビリティプラットフォーム事業者協議会
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/240515/local02_01.pdf

■金沢・鎌倉・京都・那覇の4都市で調査

モビリティプラットフォーム事業者協議会は、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が移動の人手不足解決を目指す事業者団体として2024年1月に設立した。地域交通のDXを推進し、日本各地で深刻化する移動の足の問題を解決していくことを目指しており、モビリティスタートアップなどが参画している。

同協議会は2024年5月15日に開催された「第14回 地域産業活性化ワーキング・グループ」において、「GW期間中のタクシー需給動向等調査について」の報告を行った。この調査は、移動需要が高まるGW期間中の主要観光地におけるタクシーの需給動向の実態を可視化することで、移動の足の課題解決に向けた今後の政策の検討の参考となることを目的に行われた。

2024年4月27日〜5月6日の金沢・鎌倉・京都・那覇という主要観光4都市におけるタクシーの利用状況や移動の足の確保の状況などの実態把握を行った。15〜99歳の全国の男女の中からGW期間中にこの4都市のいずれかに旅行や帰省で訪れたことがあり、タクシーを利用しようとして困った経験のある人をスクリーニングした上で、1都市100サンプルずつの合計400人を抽出し、インターネット上で調査を実施したという。

■「つかまらない経験」をした人は8割以上

スクリーニング調査結果によると、GW期間中に4都市を訪れた人9,127人のうち、タクシーを利用しようとした人は1,199人であった。そのうち83.3%にあたる999人が、タクシーがつかまらない経験をしたと回答したという。

出典:内閣府公開資料

「路上(流し)でタクシーがつかまらなかった/なかなかつかまらなかった」が最も多く41.7%、「タクシー乗り場に行列ができていて、乗れなかった/なかなか乗れなかった」36.1%、「タクシー乗り場で待っていたが、タクシーが来なかった/なかなか来なかった」32.1%と続く。

また「タクシー配車アプリで、タクシーがつかまらなかった/なかなかつかまらなかった」24.0%、「タクシー配車アプリで、配車できたが乗車までの待ち時間が長かった」20.9%といった、タクシー配車アプリでの乗車に関する回答もあった。

観光地で、タクシーの供給量が圧倒的に不足していたことが判明した。特に金沢と京都の訪問者のうち約半数から6割近くの人が、タクシー乗り場や路上(流し)でタクシーがつかまらなかった・つかまりづらかったと回答している。

なお今年4月からスタートした日本版ライドシェアでは、調査対象の4都市のうち京都のみが対象地域となっている。

出典:内閣府公開資料

■タクシー代わりは「徒歩」が1位で73%

400人を対象とした本調査についても紹介する。

タクシー利用に困った人のうち、82.3%がタクシー利用を断念したと回答している。タクシーの代わりに利用した移動手段は、「徒歩」が1位で73.9%、「バス」59.3%、「電車」51.1%と続いた。

出典:内閣府公開資料

GW中にタクシーを利用しようとした回数は「3〜5回」が54.8%で最も多く、次が「1〜2回」32.3%であった。タクシーを利用しようとして困った回数は、「1〜2回」が59.8%を占めた。またタクシーを利用した人の7割が、11分以上の待ち時間を経験している。許容できる待ち時間としては10分以内という回答が多かったが、それをオーバーしたという結果になった。

タクシーの利用ニーズがある場所についても調査している。最も多いのが「観光地・観光施設」で、2番目に多いのが「空港・駅・バス停・バスターミナル」、3番目が「ホテル・宿泊施設」であった。

出典:内閣府公開資料

■ライドシェアについての調査も

本調査の対象400人には、ライドシェアの利用状況についても質問している。

「利用したことがある」のは12.8%、「見たことがない」43.3%、「見かけたが利用したことはない」44.0%であった。

利用したことがあると回答した人のうち、GW中に利用したのは84.3%であった。「満足」「やや満足」がそれぞれ41.2%で、一度ライドシェアを利用するとリピート率が高い可能性があるという。

出典:内閣府公開資料

ライドシェアについて、乗客側からは「安全性観点でのドライバーの評価等」「ライドシェア独自の運賃制度」「エリア・時間規制の排除」を求める意見が出ている。運転手視点では、「副業としての活用」や「時間規制の撤廃(稼働時間の自由化)」といった希望が多いようだ。

また乗客・運転手双方の視点の意見として、「事故等発生時への対応」や「タクシー規制とは異なる制度の導入」が求められていることが分かった。

■ライドシェア全面解禁の早期議論を

連休中の観光地でのタクシーの不足は深刻な問題となっていることが、この調査により判明した。特定時期のみタクシー会社の車両を多く配備することが難しいのであるなら、ライドシェアを導入することも本格的に考えないといけない時期に来ているのだろう。

政府や各自治体でライドシェアについての議論は進んでいるが、もし繁忙期のみ副業としてライドシェアドライバーをしたい人が多いのであれば、利用者にとっても便利になり双方のメリットがある。規制をどこまで緩和するのか、早期の議論が求められる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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