TikTokである動画がバズっている。セブンイレブンのロゴとカラーがペイントされた自動運転配送ロボットが米ロサンゼルスで襲われ、中に入っていた食料品と思われるものが奪われる動画だ。大容量のサイレンが鳴り、食料品を奪った男は逃げていく。
TikTokの1分35秒の動画では、自動配送ロボットが襲われる映像が複数含まれている。自動配送ロボットを横に倒して走行不可能な状態にしたり、ロボットに乗っかったり…。実際、ロサンゼルスではこうした事件が相次いでいるようだ。
@filmtherobotsla Hollywood’s food delivery robots are under attack, and they’ve decided to fight back. Be careful out there. #robotics #ai #fightback #selfdefense
■99.9%の配達は成功している!?
ロサンゼルスの民間テレビ局「KTLA」が報じたところによれば、自動配送ロボットを利用する企業は、無人配送のプロセスを妨害する邪魔者や犯罪者による悪影響を受けつつあるという。
ちなみにKTLAの記事の中で、実際に妨害を受けたカフェのゼネラルマネージャーが取材に応じており、「料理を作り直さなければならないが、幸いなことに、(宅配サービスを行う会社に)弁償してもらった」と答えている。
ロサンゼルスのハリウッド地区で自動運転配送ロボットを展開しているServe Robotsは、実際にロボットが標的にされることがあることに触れつつも、99.9%の配達は成功していると説明している。
■妨害に対するロボット開発会社の対策は?
また、自動宅配ロボットに関する有力ベンチャーのStarship Technologiesは、配達が邪魔された際の対策について公表している。
「誰かが妨害行動を起こそうとした場合、ロボットは回避しようとする」とした上で、「状況がエスカレートした場合、大容量のサイレンが鳴り、全ての事案が報告される仕組みとなっている」「ロボットの中は配達中は常にロックされており、カメラによる録画もされている」とも説明している。
■無人配達の技術は確立、次のフェーズは…
自動運転配送ロボットの実用化や実証的サービス提供が、アメリカだけではなく、日本を含め、世界的に加速しつつある。ロボットのほとんどが、パスコードやQRコード認証をしないと中の商品が取り出せない仕組みとなっているが、想定を超える力でこじ開けられた場合、被害を防ぎにくいのが現状だ。
こうした行為に対する防衛策をどう講じていくのか。TikTokの動画を観ても分かるように、大音量のサイレンは対策の1つになり得る。無理矢理ロボットがこじ開けられた場合、自動で監視センターに通報がいく仕組みも必要だろう。ロボット自体にカメラを搭載することも重要なポイントと言える(※この場合、撮影した動画に映り込む周囲の一般の人の「プライバシー」に関しては議論が出そうだが…)
自動配送ロボットが無人で配達をこなす技術がすでに確立される中、次は無人サービスをどう安定的に運営していくかが課題になってきた。逆に言えば、実用化が進んできたからこそ表面化した課題とも言え、それだけ世界で無人配送が当たり前になりつつあると言うこともできるだろう。
【参考】関連記事としては「なぜ住民たちは、Waymoの自動運転車に卵を投げつけるのか」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)