ソフトバンクグループは2022年11月11日、2023年3月期第2四半期の決算説明会を開催した。2022年4〜9月の売上高は前年同期比6.7%増の3兆1,824億円、最終損益は1,290億円の赤字となった。前年同期の最終損益は3,635億円の黒字だった。
孫正義会長は説明会の冒頭から登場し、「今回のようなプレゼンは今後は当面しない」と説明した。健康を害したとの噂などが流れていたが、「いたって健康」とした上で、今後はCFO(最高経営責任者)の後藤芳光氏がスピーチすることを発表した。
その上で、孫氏は「最後」のスピーチをし始めた。
■「Armの活躍の場は爆発的に広がる」
孫氏はまず、半導体設計子会社の英Armについて訥々(とつとつ)と語り始めた。
「コンピューティングの中心はPCからスマホに移ったように、CPUの中心はインテルからArmに移った、とこのように私は思っている」「クラウドの中心のコンピューティングも、インテルのアーキテクチャからArmのアーキテクチャに変わりつつあると思っている」
なぜArmが主役に躍り出ることに自信があるのか。その理由について孫氏は「電力を使うことに対して最も効率的な設計になっているArmのポジションが揺るぎないものになっていく、と私は信じています」と語った。
さらに「あらゆるものがデジタル化されていく、コンピューティングされていく。そうすると、Armの活躍の場は爆発的に広がっていくでしょう」と述べた。当然、自動車をデジタル化することによって実現される「自動運転車」のことも念頭に置いた発言だ。
そして、過去にArmを米半導体大手NVIDIAに売却するという計画が頓挫したことも振り返り、「本当は売却したくなかった」と付け加えた。
■「Armの成長に集中」「私の神経を注ぐ」
Armに関するスピーチはその後も続いた。「Armの成長に集中して、私の神経を注いでみよう、とここ最近過ごしてきた」と述べ、「Armの成長機会は爆発的なものがあるということを、心の底から再発見した」と語った。「これから数年間、Armに没頭する」と孫氏。
そして「私は『攻め』の男」とし、ソフトバンクグループの「守りの経営」は後藤CFOに任せ、孫氏自身は今後Armで攻めの姿勢を貫くという。
■自動運転はArmにとっての巨大な成長機会
自動運転業界では「自動運転と言えばArm」と言われることもある。自動運転市場が今後拡大していくことが確実視されていく中、Armが有利なポジションをキープし続ければ、Armは大きな企業としてかなりの成長を果たすはずだ。
孫氏がArmに没頭することでArmの成長が加速し、そしてその成長がソフトバンクグループにも大きな利益をもたらす流れになるのか、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「孫氏「7兆円がほぼゼロに」 ビジョンファンド累計利益」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)