英ニューカッスル大学が興味深い調査結果を公表している。自動運転車のシミュレーターに男性と女性を座らせ、運転をシステムから引き継ぐようアラートを出したところ、平均反応時感は女性は2.45秒だったが、男性は2.63秒だった。男性の方が反応が遅いという結果だ。
ちなみに男性と女性ともに、運転席に座っているときはiPadを読ませ、その状態から手動運転をし始めるまでのタイムを比較したという。
さらに、手動運転で引き継いだあとの運転の安定性も女性の方が高かった。同大学の研究結果によると、女性はハンドルが中心から平均8.13度回転したが、男性は平均8.93度回転した。つまり、ハンドルの安定性は女性の方が高かったという結果だ。
つまり、自動運転車の取り扱いについては、男性よりも女性の方が上手ということになる。
▼Analysing the efect of gender on the human–machine interaction in level 3 automated vehicles|nature.com
https://www.nature.com/articles/s41598-022-16045-1.pdf
■性別によって設定を微調整する必要あり?
報道によれば、こうした調査結果を受けて研究者らは、性別によって自動運転車の設定を変える必要性を指摘しているようだ。運転席に座る人物が男性のときは、女性より「危ない」ことを前提に自動運転システムを調整すべき、という視点だ。
考えられる調整の1つとしては、運転を自動運転システムから引き継がせるためのアラートを女性のときより早く鳴らす、といったことが考えられそうだ。
また、男性が運転席に座っている場合は、運転を引き継いだあとにハンドル操作が不安定になりやすいことを見越し、注意を促す音声アナウンスなども必要になるかもしれない。
■「レベル3」の車両を想定した研究結果
ちなみにこの実験は、自動運転レベル3(条件付き運転自動化)の自動運転車を想定して行われた。レベル3では、自動運転システムが対応できないシーンや、自動運転が可能なエリアを抜けた際に、運転手の手動運転が求められる。
現時点では、レベル3のシステムを搭載した車両をホンダが2021年3月に発売しており、こうした研究結果を受け、もしかすると性別によって自動運転システムの調整をいずれは若干行う必要性が出てくるかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル3とは?定義は?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)