将来の有望市場とされる「空飛ぶクルマ」や「無人ドローン」。これらの商用化に向けて不可欠なのが「実験場」だ。もし広い土地を所有しているなら、その土地を活用すればいいビジネスになるかも?
■熊本の企業が新ビジネス展開
そんな新たなビジネスにいち早く目を付けたのは、ドローン事業を展開する株式会社コマンドディー(本社:熊本県熊本市/代表取締役:稲田悠樹)だ。
熊本県阿蘇市に国内最大級となる広さ約200ヘクタールの法人・団体向けレンタルドローンフィールド「阿蘇ドローン手形BIZ」を開設し、予約受付を開始したことをこのほど発表した。
阿蘇ドローン手形BIZは、元々は牛の放牧を行っていた放牧地であったという。広大な土地を生かした新事業に注目が集まりそうだ。
■予約だけで利用OK
ドローンに関しては、航空法の改正で目視外飛行および第三者上空の飛行が可能となる「レベル4飛行」が2022年12月に解禁される予定で、商用化に向けた実験を加速させたい企業も多いはず。その一方で、広さと安全性を確保できる場所は少ないのが現状だ。
さらにドローンの実証実験をするためには、飛行場所の許可を取るために複数の地権者へ確認するだけでなく、電波環境の安定性や緊急着陸が可能なエリアを考慮しなければならないなど、実施に至るまでに多くの手間とコストがかかるという難点があったという。
阿蘇ドローン手形BIZは、広い敷地でありながら地権者の許可取得が不要で、予約のみで利用できるという、ドローン事業者にとって非常にありがたい場となっている。
200ヘクタールというと、東京ドーム40個以上に相当するほどの広さだ。第三者が入って来ないのに加えて、高い木々がほとんどないため見通しも電波も良く、ドローンの実験には最適だ。なお、全エリアLTE接続可能となっている。
エリアを横断できる私道を完備しているため、車道での追跡も可能だ。また、緊急の場合も牧草地に着陸可能であるため、機体の衝撃も少ない。
そしてドローンだけではなく、空飛ぶクルマの実証実験にも使用できるという。
■一石二鳥の事業
今回ドローンフィールドとなる阿蘇地域の広大な草原は、少子高齢化や草原の利活用の変容によって年々維持することが困難となっていた。ドローンフィールドとして提供し、今後は売り上げの一部を本フィールドである馬場豆札牧野維持のために活用するという。
まさにドローンの実験場提供と阿蘇の草原維持の2つを叶えた、一石二鳥の事業と言えそうだ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)